海外国際音楽コンクールの基礎知識
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世界ではどのようなコンクールが行われているのでしょうか?
世界ではどのようなコンクールが行われているのでしょうか?
【開催場所】
世界のあらゆる地域で国際コンクールが開催されています。また、著名な音楽家の出身地や出身校、活躍した都市など、音楽家と縁のある場所で行われるコンクールも数多く存在します。
【開催頻度】
毎年開催されるコンクールもあれば、2~5年に1度といった定期開催、または不定期開催など、コンクールによってさまざまです。
【専攻】
鍵盤楽器、弦楽器、管楽器、古楽器、打楽器、声楽、作曲、指揮、アンサンブルなど、幅広い専攻のコンクールが開催されています。マイナーな楽器や音楽を専攻されている方からのご相談も、随時受け付けています。
【年齢】
コンクールにより設定年齢が異なります。ほとんどは、○年○月から○年○月までに生まれた方、○才~○才という設定です。作曲は、比較的年齢が高めに設定されています。また、中には、熟年の方も受けられるアマチュア対象のコンクールもありますので、生涯学習やチャレンジの目標にして、挑戦されるのも良いでしょう。
【レベル】
多くの人が知る、世界一流コンクールでは、プロまたはプロ並みのレベルとセンスそして度胸を求められます。それ以外にも、新しい才能を発掘するための国際コンクールや、幼児・子供のための国際コンクール、趣味としての音楽コンクールなどが開催されています。このため、プロからアマチュアまで、海外国際音楽コンクールと言ってもレベルはさまざまです。数多くのコンクールの中から、ご自分に適したコンクールを選ぶことができるでしょう。
【曲目】
時代別スタイルごとまたは作曲家ごとに指定された、いくつかの課題曲の中から自由に選ぶという形式が一般的です。一次審査と二次審査は、同じ課題曲リストを指定されることがあり、楽曲が重複しないようにご注意ください。三次審査や最終審査では、曲の一部分だけの演奏や、審査員が直接その場で演奏箇所を指定することがあります。もちろん、コンクールによって課題曲や自由曲の定義が異なり、一概には言えません。すべて自由だったり、指定された課題曲(一曲)のみだったりするコンクールもあります。
【審査】
予備選考として録画審査のDVDやビデオを提出するコンクールと、一次審査からすべてライブ審査というコンクールがあります。いずれも、本選ではホールなどの専門施設でライブ演奏となります。会場には、コンクールファンや地元の一般の観客が入ります。大きなコンクールでは、最終選考に協奏曲が加わり、海外の一流オーケストラと協演できるのが魅力でしょう。作曲の場合は、作品を提出し審査員に委ね、結果発表となります。その他、近年では、youtubeなどの動画サイトを利用して審査し、人気投票で受賞が決まるコンクールなども開催されています。
【審査員】
著名なコンクールでは、予備選考と本選で審査員が代わる場合があります。たいてい1専攻につき3~5名ほどが務めます。本選には、大御所と呼ばれる音楽家が揃い、あなたの演奏と名前を覚えてもらう絶好の機会となるでしょう。あまり知られていないコンクールでも、ゲスト審査員や名誉審査員という形で、著名な音楽家を招いていることがあります。憧れの音楽家や、音楽性の合う演奏家など、お目当ての音楽家が審査員を務めるコンクールを探すことができれば、モチベーションアップにつながります。
【順位】
1位、2位、3位を受賞者として表彰し、賞金や副賞を授与するコンクールが一般的です。受賞者は、授賞式とファイナルコンサートで紹介され、演奏を披露できます。近年では、時代別楽曲の演奏最優秀賞、観客賞、主催財団賞といった特別賞や、ディプロマを設置しているコンクールがあり、賞も多様化しています。大きなコンクールでは、8位くらいまでを受賞者として表彰する場合があります。もちろん、該当ナシもありますので、毎年決まった人数が受賞できる訳ではありません。
【賞金と副賞】
賞金は、コンクール開催地の通貨、場合によってはドルで授与されます。数百万円以上にもなる高額賞金や、賞金総額の高いコンクールもありますが、ベーゼンドルファーのピアノ、デビューCD発売と数年間のコンサートツアー、音楽院スカラシップといった、素晴らしい副賞を用意しているコンクールがあります。その他にも、三次審査まで残れば滞在費負担、地元有力紙での紹介、ファイナルコンサートでの演奏または紹介など、さまざまな特典が用意されていますので、有名なコンクール以外の情報も、ぜひ目を通してみてください。
【主催者】
コンクール主催者は、国、地方、自治体、NPO、音楽教育機関、そして後援として、前述の公的機関や音楽関連企業が関わるなどさまざまです。歴史や権威あるコンクールでは、独自に委員会を組織して運営しています。コンクール自体が国家を代表する事業だったり、地域密着の手作り感あふれる総合文化イベントだったり、その目的も多岐に渡ります。いずれにしても、音楽コンクールには話題が集まりますので、あなたが実力を発揮できれば、現地の人々を魅了し、ファンが増えることとなるでしょう。
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ヨーロッパの主なコンクール(順不同)
ヨーロッパの主なコンクール(順不同)
【イギリス】
- スコットランド国際ピアノコンクール(グラスゴー)
- リーズ国際ピアノコンクール(リーズ)
- ロンドン国際弦楽四重奏コンクール(ロンドン)
- レオポルト・モーツァルト国際ヴァイオリンコンクール(アウグスブルク)
- ボン国際ベートーヴェン・ピアノコンクール(ボン)
- ケルン国際音楽コンクール(ケルン)
- 国際シューベルト・ピアノコンクール(ドルトムント)
- ハノーファー国際ヴァイオリンコンクール(ハノーファー)
- ヨハン・ゼバスティアン・バッハ国際コンクール(ライプツィヒ)
- ミュンヘン国際音楽コンクール(ミュンヘン))
- マルクノイキルヘン国際器楽コンクール(マルクノイキルヘン)
- ブザンソン国際指揮者コンクール、ブザンソン国際作曲コンクール(ブザンソン)
- ボルドー弦楽四重奏国際コンクール(ボルドー)
- シャルトル国際オルガンコンクール(シャルトル)
- エピナル国際ピアノコンクール(エピナル)
- トゥールーズ国際声楽コンクール(トゥールーズ)
- パリ市主催国際コンクール(パリ)
- ロン・ティボー国際音楽コンクール(パリ)
- オルレアン国際ピアノコンクール(オルレアン)
- リヨン国際室内楽コンクール(リヨン)
- アレッサンドリア国際ギターコンクール、アレッサンドリア国際作曲コンクール(アレッサンドリア)
- ブゾーニ国際ピアノコンクール(ボルツァーノ)
- ブレシア国際ヴァイオリンコンクール(ブレシア)
- カルタニセッタ国際室内楽コンクール(カルタニセッタ)
- フィレンツェ国際室内楽コンクール(フィレンツェ)
- パガニーニ国際コンクール(ジェノヴァ)
- ロドルフォ・リピツァー賞ヴァイオリンコンクール(ゴリツィア)
- アントニオ・ペドロッティ国際指揮コンクール(トレント)
- トスカニーニ国際指揮者コンクール(パルマ)
- アルベルト・クルチ国際ヴァイオリンコンクール(ナポリ)
- フランシスコ・ヴィニャス国際声楽コンクール(バルセロナ)
- マリア・カナルス・バルセロナ国際音楽演奏コンクール(バルセロナ)
- フランシスコ・タレガ国際ギターコンクール(ベニカシム)
- ビルバオ国際声楽コンクール(ビルバオ)
- ハエン国際ピアノコンクール(ハエン)
- ホセ・イトゥルビ国際ピアノコンクール(バレンシア)
- タラゴナ市国際作曲コンクール(タラゴナ)
- ピラール・バヨナ国際ピアノコンクール(サラゴサ)
- パブロ・サラサーテ国際ヴァイオリンコンクール(パンプローナ)
- エリザベート王妃国際音楽コンクール(ブリュッセル)
- ヴェルヴィエ国際声楽コンクール、ヴェルヴィエ国際指揮コンクール(ヴェルヴィエ)
- オランダ国際声楽コンクール(シェルトゲンボッシュ)
- トロンプ国際打楽器コンクール(アイントホーフェン)
- フランツ・リスト国際ピアノコンクール(ユトレヒト)
- ジュネーヴ国際音楽コンクール(ジュネーヴ)
- ゲーザ・アンダ国際ピアノコンクール(チューリッヒ)
- クララ・ハスキル国際ピアノコンクール(ヴヴェイ)
- シオン・ヴァレー国際ヴァイオリンコンクール(シオン)
- ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクール(マルティニー)
- フランツ・ シューベルトと現代音楽国際コンクール(グラーツ)
- ベートーヴェン国際ピアノコンクール(ウィーン)
- フリッツ・クライスラー国際ヴァイオリンコンクール(ウィーン)
- モーツァルト国際コンクール(ザルツブルク)
- パデレフスキ国際ピアノコンクール(ビドゴシチ)
- フィテルベルク国際指揮者コンクール(カトヴィツェ)
- ショパン国際ピアノコンクール(ワルシャワ)
- ルトスワフスキー国際チェロコンクール(ワルシャワ)
- ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール(ポズナン)
- プロコフィエフ国際コンクール(サンクトペテルブルク)
- チャイコフスキー国際コンクール(モスクワ)
- ミリアム・ヘリン国際声楽コンクール(ヘルシンキ)
- シベリウス国際ヴァイオリンコンクール(ヘルシンキ)
- Maj Lindヘルシンキ国際ピアノコンクール(ヘルシンキ)
- ヴィアンナ・ダ・モッタ国際ピアノコンクール(リスボン)
- プラハの春国際音楽コンクール(プラハ)
- ブダペスト国際音楽コンクール(ブダペスト)
- カール・ニールセン国際音楽コンクール(オーゼンセ)
- スウェーデン国際デュオコンクール(カトリーネホルム)
- ソニヤ王妃国際音楽コンクール(オスロ)
- フンメル国際ピアノコンクール(ブラティスラヴァ)
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北米の主なコンクール(順不同)
北米の主なコンクール(順不同)
【アメリカ】
- USA国際ハープコンクール(ブルーミントン)
- クリーブランド国際ピアノコンクール(クリーブランド)
- ウィリアム・カペル国際ピアノコンクール(カレッジパーク)
- ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(フォートワース)
- インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクール(インディアナポリス)
- ジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクール(ソルトレイクシティ)
- マレイ・ドラノフ国際2台ピアノコンクール(マイアミ)
- バンフ国際弦楽四重奏コンクール(バンフ)
- エスター・ホーンズ・カルガリー国際ピアノコンクール(カルガリー)
- モントリオール国際音楽コンクール(モントリオール)
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ヨーロッパ、北米以外の主なコンクール(順不同)
ヨーロッパ、北米以外の主なコンクール(順不同)
【チリ】
- ルイス・シガール国際音楽コンクール(ヴィーニャ・デル・マール)
- メルボルン国際室内楽コンクール(メルボルン)
- マイケル・ヒル国際ヴァイオリンコンクール(オークランド)
- 北京国際音楽コンクール(北京)
- 中国国際ピアノコンクール(厦門)
- 中国国際声楽コンクール(寧波)
- 済州国際管楽器コンクール(済州島)
- ユン・イサン国際音楽コンクール(トンヨン)
- ソウル国際音楽コンクール(ソウル)
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世界のコンクールを受けよう
世界のコンクールを受けよう
【就職難の国内事情】
近年、日本国内で音楽家として成功することはもちろん、音楽の専門家として就職すること、音楽関連の職種に就くことが、ますます厳しくなっています。趣味の範囲で音楽を楽しむアマチュア志向も1つの方法ですが、せっかく得て来た高い知識とスキルが、宝の持ち腐れになりかねません。不安を乗り越えて、将来と自信、そして人間性の成長にもつながる、世界のコンクールにチャレンジしてはいかがでしょうか。
【海外事情】
歴史と実績を兼ね備えたコンクールがいくつも存在します。中でも、世界三大コンクールと呼ばれているのが、エリザベート王妃国際音楽コンクール、 チャイコフスキー国際コンクール、ショパン国際ピアノコンクールです。それぞれの開催地は、ベルギー、ロシア、ポーランド。外国といえば、ドイツ、フランス、イタリア、アメリカなどを思い浮かべがちですが、よく知らない国で開催されるコンクールも、内容をよく確認してください。あなたにとって魅力的なコンクールがあるかもしれません。さらに最近では、独立して日が浅く、これから芸術発展に尽力しようという東欧諸国などにおけるコンクールも力を付けています。もともと文化芸術を重視するヨーロッパの背景から、財団、社会、企業の寄付によって、世界中の若い才能を求めているコンクールが増えているのも事実なのです。
【海外国際音楽コンクール受賞歴のある日本人音楽家】
小沢征爾、下野竜也(以上ブザンソン)、田中希代子(ジュネーヴ、ロン・ティボー、ショパンなど)、前橋汀子(ロン・ティボーなど)、今井信子(ジュネーヴ)、内田光子(リーズ、ボン、ショパンなど)、堀内康雄(トゥールーズ、ビルバオなど)、佐藤陽子、千住真理子、庄司紗矢香(以上パガニーニ)、岡崎慶輔(レオポルト・モーツァルト、ミュンヘンなど)、伊藤恵(ミュンヘンなど)、廣江理枝(シャルトル)、神谷美千子(パガニーニ、インディアナポリス、ハノーファーなど)、神谷郁代、西村朗、仲道郁代、諏訪内晶子(以上エリザベート)など、ほんの一部です。最初は不安と緊張のスタートだと思いますが、自分の道を開こうと思っている方は、迷わずに可能性を広げて行きましょう。
【アンドビジョンを活用しよう】
コンクール挑戦に関わるご相談やお手続など、ご面倒な部分はアンドビジョンにお任せください。海外国際音楽コンクールは、言葉の問題、お金の問題、日程の問題、いろいろな心配事が重なることでしょう。日本とは異なりますので、コンクール事務局と連絡が取れない、内容が不明確でよく分からない、根本的にどうしていいかわからないといったなど、思いがけないトラブルにも、しっかり対応させていただきます。また、現地の先生や審査員に連絡して欲しいなどのご要望も承っております(※コンタクトできない先生もいらっしゃいますので詳細はアンドビジョンカウンセラーまでお問合せください)。コンクールの演奏に集中する環境を整え、本番で最高の実力を発揮するためのサポートをさせていただきます。
また、興味はあるけれど、やはり勇気が出ない方は、日本国内のコンクールへ参加し、段階的に自信をおつけになっても良いでしょう。海外の講習会や日本で海外の先生の公開レッスンなどにご参加いただくことも可能です。海外講師の豊かな感性を肌で感じることで、世界への思い、音楽の楽しさを深めてみてください。