松本真由美さん/フルート/ラファエル・レオーネ・アンドビジョン特別プログラム/オーストリア・ウィーン
-最初に自己紹介をお願いします。フルートを始めたきっかけなども教えてください。
松本 始めたのは中学校の部活ですね。吹奏楽部で。そこから中学・高校と部活でやっていて、高校を卒業してからは吹奏楽団とか、フルート以外の楽器の友達とセッションをしたりとか、そういうことを独学でやっていました。
-ずっと続けていたのですか?
松本 途中少しやっていない時期もあったのですが、やはりどうしても、やっていないと落ち着かないというか(笑)。
-先生に習っていたのは吹奏楽部の時代ですか?
松本 全然習っていないんですよ。先輩にちょっと教えてもらっていたくらいで、その先輩も誰かに習っていたわけではなくて。みんな独学でやっていた感じですね。
-それでもちゃんとできるようになるのですね。すごいですね!
今回先生も「すごく才能のある方で」とおっしゃっていたので。
松本 いえいえ、おはずかしい限りで(笑)。
-ではちゃんと先生に教わるのは今回が初めてということで?
松本 そうなんです。それをレオーネ先生に言ったら「信じられない」と驚かれてしまって。「あ~そんなもんなんだ」と逆にカルチャーショックみたいな(笑)。
-レッスンを受けてみて、「やはり今までと全然違う」というようなことも書いていただいていたのですが。
松本 そうなんです。逆に日本で習っていかなくてよかったなと思いました。
-そうなんですね。松本さんに合うようにすべて修正してくださったと
アンケートにも書いてくださっていたので。
松本 そうなんですよ。最初に「何でもいいから曲を吹いてくれ」と言われて。それで私の癖とか音とか、どこをどう直したらいいかも瞬時にわかるみたいで。すごいなぁと思いました。
-今回、全体を通して想像とかけ離れていたようなことはなかったですか?
松本 自分で用意していった曲が2曲あったのですが、先生が「うん、この曲は君に合わない」と言って、先生が持っていた楽譜をコピーさせていただいてやりました。私は初見が苦手なんですが、かなりいろいろな楽譜をいただいて、ちょっとスパルタかな?とビックリしましたね(笑)。
-宿題もいっぱいいただいたとおっしゃってましたものね。
松本 そうなんです。
-でもそれはちゃんとこなせていける量でしたか?
松本 はい、がんばりました。
-レッスンは1時間ですよね?
松本 そうです。
-1時間の内訳はどんな感じでしたか?パターンは決まっていましたか?
松本 最初は基礎練習から始まって、それから宿題をやるという感じです。
-先生もたくさん演奏してくださいましたか?
松本 はい、それはもうたくさん!私の楽器も吹いてくださって、楽器って人によってこんなに音が違うんだな、と思いました。
-そんなに違ったのですか?
松本 そうなんですよ!先生すごいなぁと。
-先生はユニークな方だったんですよね?
松本 面白かったです。勝手にお固いイメージを持っていったのですが、全然そんなことがなくて「フルーティストはルーズじゃなくちゃいけないんだ」みたいなことをおっしゃっていて、面白かったです。
-先生はルーズな感じだったのですか?
松本 そうです(笑)。通訳さんが訳せないくらいのギャグとかを連発していて。
-じゃあそれは分からなかったのですか?
松本 大塚さんが、「松本さんごめんなさい、私訳せないわ」と言っていました(笑)。何を言っていたのかは分からないのですが。
-レッスンの時もずっとそういう雰囲気なのですか?
松本 そうです。
-いきなり厳しい人に変わったりとかは?
松本 なかったです。
-そんなに怖い思いもせずにレッスンを受けることができましたかね?
松本 はい。
-レッスンは6回受けていただいたと思うのですが、レッスンが少しずつ変わったりはしましたか?
松本 そんなに変わったことはなかったですね。
-ご自身ではどれくらいの成長度があったと思われますか?
松本 海外に行くと開放的になるというのもありますけれど、音の広がりがあったなとすごく思いますね。
-日本で演奏している時とはまた違った感じで?
松本 はい。ちょっと余裕が出てきたのかなと思います。
-今まで海外に行ったことはありましたか?
松本 はい。
-でもウィーンは初めてで?
松本 そうです。でも懐かしい感じがして、「なんだろうこれは」と思いながら……。
-他の外国ではそんな感じはなかったのですか?
松本 そうなんです。ウィーンはなぜか馴染んでいたというか。
-練習は問題なくできましたか?
松本 はい、できました。
-カルチャーショックとか、こんな練習室があるんだ、とかはなかったですか?
松本 なかったです。
-よかったです。安心しました。
練習とレッスン以外に、先生がリハーサルに連れて行ってくださっていましたよね?
松本 そうなんです。学友教会(?)に。リハーサルと本番とに連れていってくださって、すごくよかったです。感動しました。
-先生がオケで吹いていらっしゃったのですか?
松本 そうです。
-他にも演奏会は行かれましたか?
松本 他には行っていないです。練習をがんばらなければならなかったので(笑)。
-ではそういう機会がなかったら、まったく聞くことができなかったのですね。
先生が連れていってくださってよかったですね!
松本 はい。あとは買い物などで街に出たときに、ストリートライブみたいなものは聞きました。それもすごく素敵でした。さすが音楽の街だなと。
-クラシックを弾いているのですか?
松本 クラシックではなかったのですが、すごくうっとりとして聞いていました。
-では街はいろいろ見ましたか?
松本 はい、いろいろ見ました。
-2週間の滞在ですものね。ウィーンの中は知り尽くした感じですか?
松本 けっこうまわれるものなんですね。電車も分かりやすいですし、徒歩でも有名な所はまわれましたね。
-治安はどうでしたか?
松本 問題なかったです。通訳さんは「スリはけっこういるんですよ」とおっしゃっていたのですが、大丈夫でした。フラットのある所は全然怖い人もいなかったし、ちょっと観光地になると声をかけてきたり、何回か追いかけられたりもあったのですが、走って逃げてきました。これくらいですね。
-観光名所を巡ったり、あとは他に遠出などもしましたか?
松本 郊外には行けなかったのですが、パンフレットに載っているような有名な所には行けましたね。すごく奇麗で大きくて。
-フラットの方はどうでしたか?
松本 大家さんが素敵な優しい方だったのでよかったです。あと初日に誰かはわからないのですが、ドアをドンドンたたいてくる方がいて、怖かったことがありました。
-その時はお一人で?
松本 そうです。ドイツ語で何か言っていてわからなかったので、放置していたらいなくなったのですが……。それくらいです。それ以外は全然大丈夫でした。
-大家さんはどんな方でしたか?
松本 気さくで優しそうな感じの人でしたね。英語も大丈夫でした。
-フラットはアパートのようになっていたのですよね?
松本 はい。1人部屋のような感じでよかったです。お風呂もキッチンもついていて。
-そこで練習も?
松本 はい。
-では結構練習できましたね?
松本 そうなんです。よかったです。
-先生のレッスンはリハーサル室で?
松本 はい、レッスンの会場ですね。
-先生が待ち合わせ場所を「オーケストラのホールの一部」とおっしゃっていたのですが、
レッスンは毎回そこで?
松本 はい、そうですね。
-では他のオケ奏者の方もいて?
松本 そうなんですよ~。
-すごく有名な方もいたかもしれないですね(笑)。
松本 大塚さんはピアノをやっていて、ピアノの有名な方がいらっしゃっていてすごく興奮されていました(笑)。
-あまり分かるほど有名な方ではなかったのですか?
松本 私がそんなにピアノの方に詳しくなくて、ちょっとわからなかったのですが。でもウィーン少年合唱団とか、すごく有名な人たちはわかりました。100周年コンサートなどをレッスン会場でやっていて。その会場に何個かホールがあって、すべてのホールでコンサートをしている時にレッスンがあって、その時はすごかったですね。人がいっぱいで。
-ちょうど100周年記念にあたったということなんですね。
その一環のコンサートを先生がみせてくださったのですか?
松本 そうなのかな……そうだと思います。
-先生はいつもそこでレッスンを?
松本 そうです。
-他には、生活面などで……お寿司が砂糖まみれだったのでしたっけ?(笑)
松本 そうなんですよ!ちょっとアレンジしすぎだろ、と思いながら。
-普通の握り寿司が?
松本 そうなんですよ~。ちょっと勇気が出ずに食べなかったですけれど。
-普段はどんなものを食べていたのですか?
松本 甘いものばっかりで苦しくなって、フィッシュ系のサンドウィッチのお店があったのでそういうものを食べたりとか。スーパーで野菜を買ってきてコンソメで煮て食べていましたね。
-外食はしなかったのですか?
松本 外食もしていたのですが、やっぱり甘いんですよ。あと私はお肉が食べられなくて、ヨーロッパは肉食文化でお肉ばっかりなので、あまり外食はしなかったですね。
-ではキッチンもついていたので、よかったですね。
食材でビックリしたものはありましたか?
松本 特にないですね。
-よくコンロが電熱で困ったという方もいますが?
松本 それも大丈夫でした。
-大家さんと一緒にお食事をしたことは?
松本 なかったです。
-完全に独立した生活なんですね。大家さんはそこには住んでいないのですか?
松本 一応住んでいるようなのですが、会う機会が全然なくて。お忙しそうな感じの方でしたね。入り口も別々で。
-大家さん以外で、現地の方と話をしたり、交流をもったりしましたか?
松本 先生のお弟子さんたちとディナーに行きました。
-みなさん向こうの方ですか?
松本 いろんな国の方です。ベネズエラとかイタリア語をしゃべる方とか、いろんな言葉が混じっていておもしろかったです。
-日本人の方は?
松本 いなかったです。
-お弟子さんは何人くらい?
松本 3人です。私を入れて4人です。
-皆さんお若い方ですか?
松本 はい。
-今ウィーンで勉強されている方たちで?
松本 そうみたいです。
-会話は英語で?
松本 英語でした。
-皆さん英語はわかっていましたか?
松本 完璧にわかっている感じではなかったですが(私も完璧にはわからないのですが・笑)、カタコトでしゃべりながらという感じですね。
-問題なく意思疎通がとれたのですね。
松本 はい。
-どんなお話をされたのですか?
松本 楽器のこと、フルートのこととか、先生のコンサートを一緒に観にいったので、そのことで盛り上がっていました。
-先生はお弟子さんたちにも慕われている感じでしたか?
松本 すごく仲がよかったですね。フレンドリーな感じで、慕われているようでした。
-その方たちとはその後も連絡を?
松本 Facebookでつながって会話したりしています。
-じゃあこれからも続けていけるかもしれないですね。
今回、先生を選ばれた理由は?
松本 直感なんです。あ、この人がいいと。全然どういう方か知らずに決めてしまったので、そのことにもビックリされました。「どうやって見つけたんだい?」と。
-それで後悔はなかったですよね?
松本 はい、なかったです。
-先生を探していた時に「こういうことを習いたいから」ということがあったわけではないのですか?
松本 そうなんです。そういうことも全然なくて。
-もともと昔から留学をしてみたいとお考えだったのですか?
松本 まさか行くとは思っていなかったです。行ってみようかな、という軽い気持ちで。行く直前には、「こんな軽い気持ちで行っていいんだろうか」と悩んでいましたけど、でも行ってよかったです。
-今回行くということは周りの方には相談を?
松本 こういうことを決めるときに、あまり人に相談しないんですよ。自分の心に聞いて決めたいと思って。
-ご家族の方はびっくりしませんでしたか?
松本 していました(笑)。「え、なんで?!」って。それで「ちょっと行ってくるよ~」と。
-「やめときなさい」と言われたりしなかったのですか?
松本 「どうしちゃったの?」とは言われましたけど。
-行くとなると勇気がいりますよね。どこで吹っ切れたのですか?
松本 今回あきらめても絶対また行きたくなると思ったので、それなら今回行っちゃおうと思って。
-選んだ時期はお休みの都合だったのですか?
松本 寒くなる前がよかったのと、決めたらその時がいいと思って。
-思い立ったが吉日と言いますものね(笑)。
寒くなる前で一番いい時期だったのでは?
松本 よかったです。本当だったら10月は雪が降っているのですって。でも今回すごくあったかくて、コートがいらない日もあって、「君はラッキーだね」と先生に言われました。
-では寒いウィーンは全く経験せず?
松本 そうですね。
-思い立ってから行こうと決めるまでに、悩んだことはありましたか?
松本 先生にレッスンを受けているわけでもないし、音大を出ているわけでもないのに行っていいのかな、という引け目のようなものを感じてはいました。
-それは先生のレッスンに行くまでずっとありましたか?
松本 ありました。いいのかな、とドキドキしながら。
-それはどこかでなくなりましたか?
松本 なくなりましたね。私の音をほめてくださって、技術的というより感覚でやっているみたいなんです、私が。そう言ってもらった時に、これでいいんだと思って、吹っ切れたかなと思いますね。
-先生との出会いも大事だと言いますが、今回いい先生に出会えて本当によかったですね。
日本に帰ってきてからも、先生に習ったことを続けていますか?
松本 はい。
-技術的な面とかも訓練して、またこれからも、という感じですか?
松本 はい。
-先生もまた来てくださいとおっしゃっていたので。
松本 はい!また行きたいです。2週間じゃ短くて(笑)。
-そんなに練習が大変でも短く感じたのですね。練習がきついとかはなかったですか?
松本 大丈夫でした。スパルタでしたけど(笑)、でもそれも楽しかったです。
-スパルタでレッスンしてもらわなかったら、2週間でそこまで成長できないのかもしれないですしね。
松本 そうですね、本当に。
-もし次行かれるとしたら、もっと長く行きたいと?
松本 そうですね。長く行きたいですね。
-今回、どれくらい行っていたかったと思われましたか?
松本 半年くらいは(笑)。
-毎日練習が大変ですよ(笑)。それでも行ってみたいと思うくらいに?
松本 はい。
-今回レッスンをうけて、ご自身が変わった瞬間や成長を感じる瞬間はありましたか?
松本 音楽や楽器のこともそうですし、海外で生活するのってすごくいいなと思いました。自信というか、そういうものもついてくるなと思います。
-今まで海外で生活したいと思ったことはなかったですか?
松本 あったのですが、実際してみてやっぱりいいなと思いましたね。
-元々どこかで生活したいと思っていた時は、どこの国を考えていたのですか?
松本 その時はヨーロッパではなくて、アメリカとかそっちの方がいいなと思っていたのですが、ヨーロッパはすごく落ち着きますね。
-アメリカには行ったことはあったのですか?
松本 まだないのですが、これから行こうと思っています。
-旅行自体お好きなのですか?
松本 大好きです。
-ではいろんな所に行っても怖いと感じることはないのですね?
松本 そうですね、ないです。
-知らない所でもうまくやっていけてしまうと。
松本 そうですね。
-今回生活をしてみて、日本と全然違うなと思ったことはありましたか?
松本 日本人みたいに几帳面ではないなと。おおらかな所もいいなと思いました。
-先生の言葉をかりればルーズと(笑)。
松本 そうです(笑)。アバウトな所がいいなと。
-キリキリしなくていいという感じですかね。
音楽のことで日本と全く違うなと思ったことはありますか?
松本 マニュアルどおりじゃないな、と。そういう所が自分にあっているなと思いました。
-マニュアルというと、教則の?
松本 そうです。教則本にのっていることは100年前で止まっていると先生が言っていました。その通りにすると体を悪くするよと教えてもらいました。
-100年前だとそれで大丈夫だったのが、今では違っていると。
松本 そうみたいです。
-ではその後、教則本は使っていないのですか?
松本 そうですね(笑)
-今回英語で問題はなかったと思うのですが、ドイツ語じゃないといけなかったという部分はありましたか?
松本 特になかったです。カフェとか普通のお店でもみんな英語で通じましたし、大丈夫でした。
-先生も英語はお上手でしたか?
松本 そうですね。
-ドイツ語で会話をしてみたりしたことはありましたか?
松本 挨拶程度ですね。
-ちゃんと返してくれましたか?
松本 はい。
-もともと英語がおできになるので、問題はなかったと思うのですが、行くとしたら英語が全くできないと大変そうですか?
松本 大変だと思います。
-それは生活する面で?
松本 どうしたらいいか分からなくなった時に、伝えられないと困りそうだなと思いますね。
-そういう、分からなくなるようなシチュエーションはありましたか?
松本 切符を買う時とか、自動で売っているものがあるのですが、その場所が分からなかったりとか。あとは地下鉄の出口が何カ所かあって、それをどっちに出たらいいのか聞きたい時とか。それくらいですかね。
-それは毎回英語で尋ねて、向こうも英語で返してくれましたか?
松本 そうですね。
-では本当にみんな英語がわかるという感じなのですね。
ドイツ語か英語ができないと、ちょっと大変そうと?
松本 そうですね。
-実際に行ってみて、もうちょっと事前にやっておいた方がよかったことはありましたか?
松本 特に思い当たらないですね。
-今回のことに向けて、事前に準備していたことはありますか?
松本 曲くらいですかね。
-普段も毎日練習しているのですか?
松本 はい、そうです。
-お仕事をして、その他でと?
松本 そうですね。
-練習の時間を作るのは大変ではないですか?
松本 寒くなってくると大変ですが、まぁ大丈夫です。
-これから留学したい方がいるとして、こういうことはきちんとやっておいた方がいいと思うことがあれば、アドバイスをいただけますか?
松本 準備していく曲は、やはりクラシックの方がいいと思います。
-今回はどんなものを準備したのですか?
松本 ケルトミュージックなどを用意していたんです。そういうものが好きだったので。でも却下されたので(笑)。
-実際のレッスンではどんな曲を?
松本 ベートーベンとかモーツァルトとかの曲ですね。
-今まで、そういうものも練習はしていたのですか?
松本 はい。
-では、全く違う世界ではないわけですね?
松本 はい。
-これから行く方は、曲を用意するならクラシックの方がいいと。
今後、今までのようにセッションのご予定などはありますか?
松本 もう少し活動範囲を広げたいと思っています。
-今はどんな感じで活動を?
松本 今は楽団とセッションをやっているのですが、もうちょっと大きい舞台に立てるようになりたいなと思っています。
-楽団というのはオーケストラ?
松本 吹奏楽団ですね。オーケストラもいいなと思いました。
-楽団ではどんな曲を演奏しているのですか?
松本 吹奏楽でも結構クラシックもやるのですが、もっとジャンルを問わず色々ですね。
-普段はどんな所で演奏を?
松本 ホールとかです。
-どれくらいの頻度で演奏しているのですか?
松本 月に2回くらいですね。
-けっこう頻繁にされているのですね。それもいろんな場所で?
松本 そうです。ホールとか、ストリートライブみたいなこともやっています。
-それはホームページなどで予定を載せていたりしますか?
松本 いえ、全然やっていなくて。それもやりたいなと言っているのですが。
-もしよろしければ、弊社のホームページに今後の活動も載せられるので、ぜひ。
松本 ありがとうございます!
-今後活動の幅を広げて、オーケストラにもという夢にもつながりましたか?
松本 そうですね。
-それはウィーンに行かれてから思うようになったのですか?
松本 はい、もっとやりたいと思うようになりました。
-もし次に行くとしたら、いつ頃でお考えですか?
松本 あまり間をあけたくないのですが、がんばってお金をためないといけないので……。来年か再来年には行きたいなという感じですね。
-今回特別困ったことはありませんでしたか?
松本 はい、大丈夫でした。
-行っている間もスカイプでご連絡をいただいたり、アンケートを読ませていただいたり、本当に楽しそうな様子が伝わってきて、私もワクワクしながらみていました。
いろいろご報告をいただいて、ありがとうございました。
松本 本当にありがとうございました!
-お写真は先生の所にもう載せているので、お時間のある時にみてみてください!
今日はありがとうございました。
Vol.277音楽留学アンドビジョン【講習会&オランダ留学&説明会情報】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━vol.277.2013.12.3━━
◆音楽留学アンドビジョン◆講習会&留学&留学説明会情報◆
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━
もくじ
‖【1】ごあいさつ&ご案内
‖【2】講習会情報
‖【3】学校情報
‖【4】国内レッスン情報
‖【5】特別プログラム情報
‖【6】編集後記
‖【7】次回予告
‖ 発行:アンドビジョン株式会社
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━
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【1】ごあいさつ&ご案内
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こんにちは。アンドビジョンの谷山です。
12月に入り、ちまたでは「2013年のふりかえり」の話題が多くなってきました。皆さんにとっての
2013年一番の思い出は何ですか?
★★無料留学説明会のご案内★★
準備はいつから?費用は?留学に関する小さな不安や疑問にお答えします。留学への第一歩です!
♪オーストリア留学説明会 12月4日(水)19:00〜
♪オランダ留学説明会 12月11日(水)19:00〜
説明会以外にも個別のカウンセリングも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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【2】 講習会情報
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今週はハイレベルな講習会のご案内。冬、春にかけての開催です。
<オーストリア>
◆ウィーン春期音楽講習会
ウィーンへの留学前の入試対策や、コンクールやコンサート、または本場の音楽による
レベルアップをご希望の方のための講習会
2014年3月2日(日)〜3月8日(土)※講習会期間前後の延長が可能です。
【ピアノ、ヴァイオリン、クラリネット、声楽】
※〆切:2014年2月5日
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c00ht2x0plzgat5ctmY0g
<ロシア>
◆モスクワ音楽院冬期講習会
世界の名門モスクワ音楽院が、2014年新春、キミたちに門戸を開放します。
第一期:2014年1月25日-1月31日
第二期:2014年2月1日-2月7日
【ピアノ、オルガン、全オーケストラの楽器、声楽、合唱指揮、室内楽、伴奏、作曲、ピアノ・
声楽・弦楽音楽教育、音楽学】
※〆切:2013年12月20日
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c00hu2x0plzgat5ctmsbS
上記以外にも、たくさんの講習会で参加者を募集しています。詳しくはこちらのHP
をご覧ください。
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c00hv2x0plzgat5ctm4kv
資料のご請求、ご質問などある方は
TEL:03-3278-3450
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【3】学校情報
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今週はオランダ留学特集。12月11日(水)19:00〜オランダ留学無料説明会を開催。興味
のある方はぜひお越しください!
◆アムステルダム音楽院
文化と人種のるつぼ・アムステルダムの音楽院で、多角的に技術と才能を伸ばそう。
【クラシック、ジャズ、ポピュラー音楽】
申し込み〆切:4月1日
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c00hw2x0plzgat5ctm4Jo
◆ロッテルダム音楽院
国際色豊かな環境の中で、多様な価値観の音楽を学ぼう
【クラシック、ジャズ、ポップ、ワールド・ミュージック、ミュージック・プロダクション、
ミュージック・テクノロジー】
申し込み〆切:4月1日、ジャズ4月16日、音楽教育学(学士)6月1日
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c00hx2x0plzgat5ctm5TU
上記以外にも、世界各国の学校情報を豊富にご用意しております。希望に合った
学校がきっと見つかるはず!詳しくはHPへ。
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【4】国内レッスン情報
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☆今週のピックアップ☆
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日独リーダークライスの発起人でもあり、日本人学生の指導経験豊かなテノール歌手
2014年3月26日(水)
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c00h02x0plzgat5cumegQ
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2013年12月11(水)〜13日(金)- 東京
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◆ドイツ国立トロシンゲン音楽大学シュテファン・ボルンショイヤー先生ヴァイオリン公開レッスン
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2014年3月8日(土)〜13日(木)
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2014年4月3日(木)〜5日(土)
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【6】編集後記
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気になる情報はありましたか?夢への最初のステップになれたら嬉しいです☆
皆さんからのご意見・ご感想をお待ちしてます♪
MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。
そして、ご友人にも是非ご紹介ください!(゜▽゜)
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それでは、また来週〜☆
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【7】次回予告
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次回のメルマガは、
12月10日(火)発行予定です。
お楽しみに!p(^^)q
眞田菫さん/ピアノ/モーツァルテウム音楽大学夏期国際音楽アカデミー/オーストリア・ザルツブルク
幼い頃からピアノに親しみ、音楽の道を志す。現在、同志社女子大学学芸学部音楽学科3年生。モーツァルテウム音楽大学夏期国際音楽アカデミーに参加。
-まずは自己紹介も兼ねて、今までの音楽歴を教えていただけますか?
眞田 母がピアノをやっていたこともあって、生まれた年に買ったピアノがありました。気がついたらピアノを弾いていたような感じで、中学生のころに音楽の道に進むことを考え始めました。そのまま高校、大学と進んで今に至るという感じです。いま大学3年生です。
-これまでに海外の先生のレッスンを受けたことはありましたか?
眞田 日本では音楽祭に参加した際に、カールスルーエ音楽大学の韓国の先生のレッスンを受けました。中学生の時にはコンクールの賞で、高校の時には研修旅行でウィーンやザルツブルク、ドイツでのレッスンを受けています。
-ということは、ドイツ語圏の国にも結構慣れていらっしゃるわけですね。
眞田 そうですね。ザルツブルクも今回で2回目です。行くたびにどちらかというと、なつかしいな~という感覚になりますね。
-講習会へのご参加というのは今回が初めてだと思いますが、それまでの海外でのレッスンとはなにか違いましたか?
眞田 あまり違いはなかったです。今までのものは、10日間が一番長い期間でしたので、今回は2週間だったということもありレッスン回数が多かったという点くらいです。
-講習会にご参加なさった目的は将来のご留学に向けての下見でしたか?
眞田 下見の意味もありました。将来的に長期留学をしたいと思っていて、学校はモーツァルテウムがいいかなと思っていたんです。なので、この講習会に参加して師事する先生を探すという目的もありましたし、あとはこの講習会にはモーツァルテウム以外の学校の先生もいらっしゃってますよね。そういう先生のレッスンも見て、その先生の所属する学校も留学先として考えるのもいいかなと思ったんです。
-いろいろな調査ともなっていたわけですね。
眞田 はい。実際に他の先生のクラスに参加している方々の演奏会をきいてみたり、先生によってはリサイタルがある先生もいらっしゃったので、そういったものもききに行きました。
-調査結果はいかがでしたか?
眞田 気になる先生が何人か見つかりました。実際にお話をしたりしたわけではないので、今後またゆっくり考えていこうと思っています。
-今回実際レッスンを受けたウェーバー先生はいかがでしたか?
眞田 とてもていねいにみて下さる先生でした。それぞれの人にあったレッスンをして下さいます。ほめてのばすタイプの先生で、お人柄はとても穏やかでした。
-得ることも多かったですか?
眞田 そうですね。私は他の人とは違った演奏をしたいと思ってしまうタイプなので、そういうところものばしてもらえるレッスンでした。日本ではどうかなと思う感じでしたが(笑)。
-日本では受け入れられなそうということですか?
眞田 受け入れられないかはわからないのですが、日本だと割と正統派の演奏をしなければいけないという考えが主流なんですね。それが、ウェーバー先生のレッスンでは、個性的で毒々しい感じの演奏にもっていっていただいたりしたので、コンクールだと落とされちゃうな、という演奏になっていると思います。
-是非一度きかせていただきたいですね。日本で師事している先生には、そういう演奏を怒られたりはしないんですか?
眞田 先生は、私がどうしたいのかということをくみ取ってレッスンをして下さっているので、怒られるということはないですね。常に個性的な演奏をしてると思います。強弱でも普通とは逆にしてみたりとか。
-なるほど。そういう部分でも特にウェーバー先生のレッスンは、スタイルに合っていたということなんですね。他の生徒さんたちはどうでしたか?
眞田 ウェーバー先生のクラスには、中国からの生徒さんが多かったのですが、その中でひとりとても個性的な演奏をしている人もいました。私と同じくらいの年で、ほんとに感動してしまうくらいの演奏をしている人がいて、あんな風に弾けたらいいなと思ったりもしました。
-他の生徒さんからの刺激を受けることも多かったんですね。レッスンはたくさんありましたか?
眞田 2週間で6回です。クラスの人数が21人だったので、先生は休憩無しで朝から夕方までぶっ通しでレッスンをなさっていました。
-レッスン時間は1回1時間ですか?
眞田 1回45~50分くらいでした。長引いたりすることもほとんどなく、スケジュールどおりに進んでいました。
-聴講もたくさんできましたか?
眞田 他の先生のクラスのレッスンをききにいったりもしました。同じクラスの聴講は、最初の日のオーディションで聴いたなかで上手だなと思った人や、興味を持った人のレッスンを聴講しました。
-1日のスケジュールはどういう感じでしたか?
眞田 まず毎日9時~11時までと16時~17時までは練習室を予約していたので、その時間は練習をして日中はレッスンや聴講、学校の付近の散策などをしました。夕方からはコンサートに行ったり、練習室があいていれば使っていいということだったので練習したりしました。あとは、帰りにスーパーでお買い物をして寮に帰ってお料理をしたりしてました。
-結構自炊はしましたか?
眞田 はい。最初のうちは夜ご飯を外で食べてたりしてたんですが、ちゃんとレストランで食事をすると案外高いんですよね。18~20ユーロくらいするし、それにチップも足してと考えると高くつくので寮で自炊をしていました。
-他にも寮に住んでいる人たちは自炊をしてましたか?
眞田 夕飯時になるとみんな料理を始めて、いいにおいがしてくるんですよね。私のお部屋はちょうどキッチンがあるところの向かい側だったので、お部屋の中までいいにおいがしてきて。そのにおいがすると、そろそろご飯作らなきゃなーと思ったりしてました。
-どんなものを作りましたか?
眞田 ご飯を炊いたりしました。電熱のコンロにお鍋をかけて炊いていたんですが、炊きあがるまでお部屋で待っていようと戻っているところで、火災報知器が鳴り出して・・・。もしやと思ってお鍋を見に行ったら、底のところがこげて煙が出てました。
-大丈夫だったんですか?
眞田 すぐにレセプションの人がとんできました。セコムのようなところにも知らせがいってしまったみたいで、それはレセプションの人が電話をして説明してくれたので大丈夫だったのですが、建物全体で警報が鳴ったらしくびっくりしました。
-電熱のコンロって温度調節が難しいですからね。
眞田 以前に同じ寮に泊まっていた友人がいて、その友人から温度調節きかないよという話はきいていたのですが、まさかあそこまできかないとは思ってなかったですね。
-大事にいたらなくてよかったです。キッチンのつくりはどんな感じでしたか?
眞田 キッチンゾーンみたいなところがあって、そこにキッチンセットが並んでいます。スポーツジムのロッカーのような感じで、それぞれ鍵をあけて扉をあけるとキッチンになっています。最初は何をするところなんだろう?と不思議に思いました。冷蔵庫もそこにあるので、飲み物を取りに行くだけでもいちいち部屋の外に出なければ行けないのが、少し不便でした。
-寮のタイプはいろいろありましたか?
眞田 はい。私がいたところはオレンジの建物だったんですが、他にも黄色や青や緑などあって、同じ住所ですが番地が違っていました。黄色の寮ではお部屋の中にキッチンがついていたそうです。
-お友達もできましたか?
眞田 もともと日本で知っていて、という人はいなかったのですが、講習会に参加している日本人の人たちと現地で仲良くなりました。ミュンヘンに遊びにも行きました。
-ミュンヘンとザルツブルクは違いがありましたか?
眞田 そうですね。第一印象としては、建物の屋根瓦の色が違うなと思いました。ザルツブルクは田舎ですが、ミュンヘンはそれよりは都会な感じで、イメージで言うとザルツブルクが名古屋で、ミュンヘンは東京のすごく都心ではないけれども少しだけはずれたくらいの東京のどこかという感じでした。あとは、ザルツブルクではこちらから話しかけると答えてくれる人がほとんどだったのですが、ミュンヘンでは向こうから話しかけてくる人が多かったのも大きな違いでした。
-ドイツ語での会話をする場面もたくさんありましたか?
眞田 はい。ザルツブルクではバスや路面電車などけっこう複雑で、行きたい場所に本当に行くのかわからなくていろんな人にきいたりしました。スーパーでも欲しいものが売っている場所をきいたり、レストランでの支払いをするときなど、日常的な会話はたくさんしたと思います。
-問題なく通じましたか?
眞田 大丈夫でした。日本でもゲーテに通っていてドイツ語の授業は受けているので、単語や文法などはもともと勉強しているのですが、会話はなかなかできないのでいい経験になりました。ザルツブルクの人はなまりがあるので、アクセントの場所が違っていたりなど通じにくい部分はありましたね。
-講習会ではドイツ語のコースも受講なさったんですよね。クラス分けテストも事前に受けていらっしゃいましたね。
眞田 はい。でも、実際に現地に行ったら好きなクラスを受けていいことになっていました。初心者でも上級クラスに入ってもいいということでした。
-それはそれで大変そうですね。どのクラスをご参加なさいましたか?
眞田 私はレッスンのスケジュールなどもあって、参加できるクラスがひとつしかなかったので選べませんでした。初級の上のクラスです。
-そのクラスには何人くらい参加者がいましたか?
眞田 10人くらいだと思います。みんなレッスンの時間もあるので、みんなが毎日きているというわけではありませんでした。私もドイツ語のクラスが終わったらすぐレッスン、ということも多く、クラスの人たちとそこそこ会話もしましたが、それ以上仲良くなったりという時間もありませんでしたね。
-とてもハードなスケジュールだったようですが、困ったことなどはありませんでしたか?
眞田 特になかったです。警報機ならしちゃったくらいで。強いて言うならば、寮の夜の鍵当番の方がドイツ語しかできなかったのが不便そうだなとは感じました。「私は英語できません」ということもドイツ語で言うので、英語しかできなかったら大変だっただろうなと思いました。
-やはり現地の言葉は大事ですね。
眞田 そうですね。講習会のような短期間のものに参加する場合でも、やはり語学は勉強しておいたほうがいいと思います。
-眞田さんのようにドイツ語がある程度おできになっても、それ以上に必要だなと思われましたか?
眞田 もちろんです。日常会話は問題がなくても、レッスンの際などもっと理解できればよかったと思う面もたくさんありました。今後も続けてドイツ語は頑張っていきます。
-他に留学に際しての大事な点がありますか?
眞田 語学以外だと、現地に行ったら慣れること、ですね。もちろん海外だと日本と違うことがたくさんありますし、そういったことをいちいち気にしていたらきりがないんです。なので、現地で起こるいろんなことに慣れるのが大事だと思います。
-なるほど。なので、困った点としてあげていただくことがなかったのかもしれませんね。
今回、講習会にご参加なさって、そういう点も含めご成長なさったなと感じることがありましたか?
眞田 海外に行くたびに毎回感じてます。いつも行くたびに現地の『空気』を感じます。昔の作曲家が住んでいた場所や生活していた空気、そういうものに触れると彼らが何を感じながら作曲していたのかなということにも思いがおよびますし、そういう『空気』は日本で感じることのできないものなんです。その『空気』を感じることができるのが、留学して一番良い点だと思います。
-では、やはり今後も海外への長期留学への思いが強くなりましたか?
眞田 そうですね。ただ、順番としてどうしようかなということを悩んではいます。大学を卒業してすぐに留学するのか、大学院まで卒業してから留学するのか、じっくり考えてみようと思っています。
-大学をご卒業なさってからだとまだ少しお時間もありますので、納得のいくご留学に向けていろいろとお考えになって下さいね。今日はありがとうございました。
-----------演奏会情報---------------
「大阪府立夕陽丘高校62期生、音楽科13期生による演奏会 The Curtain Call vol.4〜音の花束〜」
3月28日(金)
開演 17:30 (開場 17:00)
阿倍野区民センター小ホール
入場無料
夕陽丘を巣立って早4年を迎え、仲間たちの多くは、また新たなステージへと進む年となりました。それぞれが違った環境下にいても、演奏会のためにみんなが集まって一つになれる様子を、色や種類の違う花が合わさってできる花束に例えて、今回のテーマを「音の花束」と題してお届けしたいと思っております。一人一人が心を込めてそれぞれの花を咲かせられるよう精一杯演奏いたしますので、ご来聴いただけたら幸いです。
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美谷島百合子さん/ピアノ/モーツァルテウム音楽院夏期国際音楽アカデミー/オーストリア・ザルツブルグ
国立音楽大学付属小学校、中学校、高校を経て、現在国立音楽大学演奏学科ピアノ専修一年在学中。ニース夏期国際音楽アカデミー、モーツァルテウム音楽院夏期国際音楽アカデミーに参加。
- 現在までの略歴を教えて下さい。
美谷島 母がピアノを教えている関係で、3歳からはじたのですが、ちゃんと習い始めたのは、5歳からです。小学校4年生の時に国立(くにたち)の大学附属小学校に編入して、そのまま附属で大学まで来ました。
- 講習会に参加したきっかけを教えてください。
美谷島 去年フランスの音楽が好きでフランスのニース夏期国際音楽アカデミーにいきました。今年は、大学に入って、ドイツ圏留学の夢がふくらみ、ドイツ語圏で講習を受けてみたいと思いました。
- ドイツ語圏のコースの中で、モーツァルテウム音楽院夏期国際音楽アカデミーを選ばれたのはどうしてですか?
美谷島 ドイツ語圏のコースの中で単純に学校の日程に合うのがこの講習会でした。
- モーツァルテウムの講師はどのように選ばれたのですか?
美谷島 先生方の事はまったく分からなかったので、学校の先生や、アンドビジョンの方に相談して決めました。
- レッスンの雰囲気はどうでしたか?
美谷島 すべてのレッスンが公開だったので、たくさんのレッスンを聴講することができましたし、すごく雰囲気がよくて、勉強になりました。
― レッスンは何語で受けられたのですか?
美谷島 通訳さんもいらしたのですが、レッスンは全部ドイツ語でした。
- ドイツ語は少し話せるようになりましたか?
美谷島 (笑)いやぁ、もう挨拶が精一杯でした。
- 事前に語学の勉強はしていかれましたか?
美谷島 いえ、私、英語もほとんどできないので‥。でも、挨拶くらいは覚えて行こうかな、と。そのくらいです。
- レッスンは何時から行われたのですか?
美谷島 毎日決まった時間はなかったのですが、私は午前10時からが多かったですね。遅い方になると、5時からとか、6時からという方もいました。
- 先生は1日中教えているのですか?
美谷島 そうですね、先生は1日中で大変そうでした(笑)。
- 1人当たり何時間くらいですか?
美谷島 1人1時間です。だいたい最初は45分と先生は仰っていたのですが、結果的にいつも1時間くらいはみてくださいました。
- 日本人はたくさんいましたか?
美谷島 特に私のクラスはアジア人が多く、ほとんど日本人だったのですが、ほかのレッスンを聴講した時は、いろいろな国の方がいらっしゃいました。
- ほかの生徒さんとは日本語で会話ができたので不自由はなかったですか?
美谷島 私のクラスは、ほとんどが日本人で、しかも私より年上で留学経験も豊富な方が多かったので、色々とお話伺うことができました。
- 音大生の方は多かったですか?
美谷島 ほとんどが音大卒業生の方でした。
- 通訳の方はいかがでしたか?
美谷島 とてもお世話になりました。景色の良いところに連れて行っていただいたり、スーツケースの鍵をなくした時も、一緒に取りに行ってくださったりしました。
- 練習時間はとれましたか?
美谷島 はい、私の場合は6時間くらいだったのですが、もっと多く練習されている方もいらっしゃいました。
- 練習場所はレッスンを受ける場所にあったのですか?
美谷島 モーツァルテウム音楽院の中にありました。
- それは予約が必要ですか?
美谷島 初日に予約をして、すべてのお金を払う、という方法でした。
- レッスン以外の時間は何をされていましたか?
美谷島 レッスンの聴講と観光です。
- 良い観光名所はありましたか?
美谷島 自分が思っていたより小さい街だったので、2週間もいると隅から隅まで見ることができました。
- 先生のコンサートなどは行われましたか?
美谷島 私の先生のコンサートはなかったのですが、他の先生方の演奏は聴くことができました。また、ザルツブルグ音楽祭が開かれていたので、有名な演奏家の演奏も聴くことができました。私も受講者コンサートに出させていただけたので、本当に良い経験になりました。
- 受講者コンサートは1クラスから何人くらい出演できるのですか?
美谷島 先生の学校の生徒さんもいらしていたので、その方達も入れると5〜6人だと思います。
- 講習会での先生の門下生は何人位いましたか?
美谷島 20人位だったと思います。
- すごいですね、20人中の5、6人でしょう?
美谷島 いえいえ(笑)。
- 宿泊先はどうでしたか?
美谷島 私はフラットに1人で住んでいました。フラットには、家具など全部揃っていてすごく良い所でした。アイロンも全部ありました。スカートがシワシワになってもアイロンができました。目の前にスーパーが2つもあって、とても便利でした。
― 食事はどうされていたのですか?
美谷島 向こうでお友達になった方と一緒に食事をしたりしました。
- レッスン会場と宿泊先は近かったですか?
美谷島 バスで10分か15分くらいでした。
- バスはいかがでした?何か不自由はありませんでしたか?
美谷島 私の場合は1本で行けたので、大丈夫でした。
- ちゃんと時間通りに来ましたか?
美谷島 はい、ちゃんと来ました。
- 講習会中にスリなどの被害は大丈夫でしたか?
美谷島 はい、ありませんでした。みんなすごく優しかったので、過ごしやすかったです。
- 治安は良い感じでした?
美谷島 コンサートで夜10時近くまでかかったり、お食事して遅くなったりして夜1人で歩いていても大丈夫でした。
― 海外にお友達はできましたか?
美谷島 受講生の方が、日本人が多かったので‥。でも、知っている単語を並べて韓国人の方やいろいろな国の方とお話しました。
- ジェスチャーがあれば何とかなる感じですか?
美谷島 そうですね、ジェスチャーとあと単語だけで(笑)。
- 韓国人の方は英語が話せましたか?
美谷島 いえ、あちらの方も英語が得意なわけではなくて、お互い分からない同士です(笑)。
- 今回の講習会に参加して、良かったと思える瞬間はどんな時でしたか?
美谷島 コンサートに出た時です。日本では味わったことのないものでした。海外でのコンサートは初めてでした。1人1人が音楽に対して暖かくて。聴いてくださる方がとても暖かく迎えてくれました。いままでの演奏経験では、いつも張り詰めた空気があったので‥(笑)。
- どんな曲を演奏されたんですか?
美谷島 ドビュッシーのプレリュードの中から2曲弾きました。
- 留学して、何か自分が変わったかな、成長したかな、と思うことは何ですか?
美谷島 自分では、はっきり変わったというのは分かりませんが、ザルツブルグで先生や、他の国の生徒さん、そして音楽が生活に溶け込んでいるこの町(国)の人々に出会えたことによって、音楽に対する新たな姿勢を学べたとおもいます。
- 留学前にやっておいた方がいいと思うことはありますか?
美谷島 やはり留学するには語学の勉強は大切だなと痛感しました(笑)
- 日本とザルツブルグの違いを教えてください。
美谷島 気候で言えば、私が行ったのは夏だったのですが、寒かったです。日本の秋に近い感じでした。
- 今後の予定はいかがですか?
美谷島 きちっと音大を卒業して、さらに留学できたらいいな、と思っています。
- ありがとうございました。
寺島優樹さん/ジャズピアノ/ジョアン・ブラッキーン教授と英語・アンドビジョン特別プログラム/アメリカ・ニューヨーク
ジャズピアニスト。尚美学園大学ジャズ&ポップスコース卒。ジャズピアノを守屋淳子、ジョアン・ブラッキーンに師事。2008年第27回浅草JAZZコンテストソロ部門グランプリ受賞。
- 今回は、ニューヨークに1ヶ月、バークリー音楽院ジョアン・ブラッキーン教授にジャズピアノを習い、Zoni Language School(語学学校)で英語を学んだ、寺島さんにお話をお伺いします。簡単な今までの経歴を教えていただけますか?
寺島 母と兄がピアノと歌をやっていて、そのままつられて遊びながらピアノ学んでいきました。それが、多分1歳か2歳位だと思います。その後、6歳から14歳までエレクトーンを習いました。16歳くらいからロックバンドでキーボードを担当していました。17才の時からジャズピアノを始めました。
- 何故ジャズピアノを始めたのですか?
寺島 尚美学園大学の説明会で、たまたまジャズ科教授の霧生トシ子先生の演奏を聞いて「これだ!」と思いました。最初は学校にジャズの学部がある事は全然知りませんでした。ポップスなどシンセサイザーを使った学科がある事は知っていたのでそちらのコースに行こうと思って説明会に行きました。そしたら、「こっちの方がいいよ」と突然言われ、レッスンが始まり、先生が目の前でジャズを弾いてくれました。そこで一気に目覚めちゃって(笑)。それで、来月からレッスンに来なさいと言われました。
- 大学に入る前ですよね?
寺島 はい。自分はクラッシックをやっていなかったので早めに受験の準備をやろうと思いました。最初はクラッシックはやっていないから音大には、入れないと思っていたのですが、ジャズ科もあるし家からも近いし予備校に行かずにすむぞと思いました(笑)。尚美に入学して、2004年に卒業しました。今はピアノ演奏の仕事を中心に活動しています。
- 何か留学したきっかけはありますか?
寺島 とにかく刺激が欲しかったのです。自分の演奏は営業的な仕事が多いので、だんだんとマンネリ化してしまっていました。このままだと、これ以上はうまくならないと感じていたので、もう一回学生生活を体験して見つめ直すのもいいかなと思いました。
- ステップアップをするためですか?
寺島 今回の1ヶ月の留学で、その後どうするか見つけるためですね。
- 留学準備どの程度かかりましたか?
寺島 3ヶ月です。
- 学費は?
寺島 全部自分で稼ぎました。
- 留学前に、英語はどのくらい勉強しましたか?
寺島 正直あんまりやらなかった(笑)。中学英語だけは元々自信があったんですが、高校からサボっていたので…。でも中学レベルがあれば何とか行けると思いますよ。
- 今回は音楽のレッスン以外に、語学学校にも行っています。語学学校に行っていかがでしたか?
寺島 その人の目的によってだとは思うのですが、僕にとってはすごく良かったです。一つはすぐ友達が出来た事です。それに、自分は英語の意味は分かるのですが全くと言っていいほど話す事は苦手でした。語学学校に行けば話す度胸もつきます。朝から勉強詰めなので大変ですが、留学する時間を無駄にしなくて良かったと思います。
- 語学学校はどんな雰囲気でしたか?
寺島 フレンドリーでしたね。全部で16-17人のクラスでした。クラスメートは、韓国人が多かったです。あとはトルコ人、イタリア人、ドイツ人、スペイン人もいました。年齢は、メキシコ人で17歳からいましたね。多分50才を超える方もいたと思います。結構、スパルタで日本語禁止・英語オンリーでした。生徒さんがドーナッツなどお菓子をみんなのために持ってくる時がありました。授業中なのに先生が食べたくてしょうがないみたいで、みんなで授業中に食べちゃうんですよね(笑)。日本にはない面白さでした。
- 学校の施設はいかがでしたか?
寺島 建物自体は6階建てで3階にオフィスと長期留学用のクラスがありました。6階が短期留学生の教室です。エレベーターが2つあるのですが、エレベーターの入り口が広いものがエレベーターの中が狭くて、入り口の狭いエレベーターがなぜか中が広いという不思議なエレベーターでした(笑)。でも、エレベーターがとにかく遅いんです。学校ではインターネットも使えましたので便利でしたね。学校スタッフも本当にフレンドリーでしたが、英語が分からなくてもどんどん話すので少しやばかったです(笑)。
- 日本人はクラスに何人位いましたか?
寺島 5人でした。20代前半の方、僕が真ん中で、上は31才の方が一人いました。職業も様々で、建築士、ネイルアーティスト、美容師、シンガー、ダンサーでした。いろいろな所で、日本人に会うたびに「何をやっているんですか?」と聞くと、音楽や美術系など芸術系の方が多いのが印象的でしたね。
- 語学学校の授業は、どのように進みますか?
寺島 クラスが始まって、宿題があれば答えあわせをします。宿題を忘れると先生に「Oh! My God」と言われます。あとは文法や会話、ディスカッションを教科書に沿って進めていきます。教科書に沿うと言っても、例えば一つの言葉を習う時に、いろいろな言い回しがあるので、生徒がもっと分かりやすい言い方はないかと質問したり、かなり奥深いところまで英語を勉強します。でも、とにかく英語オンリーですから、教科書が何ページという事も周りの人をちらちら見ながらやりました(笑)。
- 語学学校に行って良かった点はありますか?
寺島 全部良かったです。こんなにまじめに勉強した事はあったっけ?という位一生懸命やりました。クラスの人数も、多分、他の学校よりも多いと思うのですが、僕にとっては、多ければ多いほど友達も出来るし、国によって様々な発音も聞けたので逆に良かったです。
- 音楽のレッスンについてですが、どなたのレッスンを受講されたのですか?
寺島 ジョアン・ブラッキーン先生です。
- ジョアン先生を選んだ理由は何かありましたか?
寺島 音楽的な話になりますが、日本でやっていた仕事は、なんて言うんでしょうか、すごく狭いんですね。ちょっと組織化したところがあって、考え方が一辺倒なんだと思うのです。もちろんそれも仕事として大事なのはわかります。しかしそれ以上のことが出来ないことにとても焦りがありました。ジョアン先生や、それにニューヨーク全体ですね、とにかくなんでもありという、突き詰めるんだったら全部突き詰めるという姿勢を学びたかったんです。ジョアン先生のいいところは本当に何でもやっていいという感じでした。
- ジョアン先生のレッスンはどのように進んでいきましたか?
寺島 先生はとてもフレンドリーな方で、まずグリーンティーとティーのどちらが飲みたいと言われます(笑)。とても有名なミュージシャンですが、別に偉ぶることも全くないし、本当によい方です。やはり有名な方なのでレッスンに行くたびに音楽プロデューサーやジャズプレイヤーと打ち合わせをしていました。一番驚いたのは、ジャボン・ジャクソンが先生の所にいたときですね。思わず握手してしまいました(笑)。ジャズスタンダード(注:ニューヨークの名門ジャズクラブ)出演の打ち合わせだと思います。
- レッスン室は大きかったですか?
寺島 先生のご自宅でのレッスンだったのですが、廊下も全部絨毯でホテルみたいな感じでした。部屋に入ると、キッチンとリビングルームがあってピアノがそこに置いてあります。多分、6-7畳程度の広さだと思います。そんなにでかい感じじゃないです豪華な部屋でした。
- 先生がお茶を出してくれた後はどのようにレッスンが進みますか?
寺島 最初、「とりあえず何か弾いて」と言われます。日本でやって来たことをそのままやりました。そのあとジョアン先生のアドバイスとエクササイズをやります。その直後に、先生から「この曲知ってる?」という感じでグランドピアノと電子ピアノでどんどんセッションを先生としていきます。その曲に対していろいろ変化をつけていきます。例えば7拍子にしてみたり、思い切りキーを替えてみたりします。
- 毎回そういう形ですか。
寺島 そうですね。レッスンがどんどん生き物のように変化していくんですよ。相当の刺激がありましたね。
- 教え方などは、日本と違うのですか?
寺島 僕は日本で守屋純子先生に教えてもらっていました。ジョアン先生は、守屋先生の延長上みたいな方でした。教え方もよく似ていて、譜面から吸収するのではなく、音で吸収する事が大事という考え方です。もちろん譜面からのカンコピもやりましたけど。
- 教え方の違いは特に無いのですか?
寺島 基本は同じだと思います。英語と日本語という事で随分違いますけど(笑)。でも、これは実は結構大事で、僕が最近思ったのは「英語で音楽を直接理解する事と、日本語で理解する事は違う」ということです。ジャズは、日本語に訳しづらいというか、逆に日本語にすると意味がこんがらがるんです。だから英語で直接理解する事は本当に大変なのですが、今回のレッスンで、ジャズを理解するのは、英語でそのまま理解する事が一番良い方法だと気づきました。
- ジョアン先生に習って良かった事はありますか?
寺島 今までの僕のスタイルとは違うスタイルを勉強させてくれたと思います。最初に弾いてと言われて弾いたのが、年代で言うと40年代から50年代のスタイルです。それが僕の演奏の主流でした。先生は「その後の時代のことを、今回は吸収して行ってね」と最初に言われました。40-50年代以降のスタイルというのは、僕の大学では、出来なかった事です。僕の習っていた守屋先生は、実は、今回ジョアン先生が教えてくれたスタイルをやりたかったんだと思います。
- ジョアン先生とは、どのようにコミュニケーションをとりましたか?
寺島 先生には、もうゆっくり話してもらいます。分からなかったら、とことん聞くしかありません(笑)。先生も僕が、あまり英語を話せないと分かっているので何とか粘り強くやってくれたという感じですね(笑)。でも回数を重ねていくと、段々と先生の言っている事も分かるようになります。音楽以外のことももちろん話されます。例えば、外に温水プールがあって、今日は誰が泳いでいるとか、外で船が通ったとか言っていましたね。
- 日本でもジョアン先生に憧れている方は、結構いますよね。女性の方は特にそうだと思うのですが。
寺島 いっぱいいると思いますよ。僕の先生の守屋先生もそうです。だからいろんな方に羨ましいと思われる事もあると思います。「あの魔法のような音を出す先生でしょ」みたいに言われたりします。音もそうですが、見かけもハロウィンで魔女役が似合いそうな本当に魔法のような人でした(笑)。
- 日本とニューヨークで何か大きく違う点はありましたか?
寺島 街そのものです。買い物に行くにしても日本とは常識が違います。例えば、ホームレスが、スーパーで勝手にドアマンをやっています。誰も注意しないし、お金をあげたい人だけが勝手にホームレスの方にあげます。日本ではそんな事はまず考えられない。とても自由というか勝手ですよね。そういう違った文化や生活習慣に触れる事は、面白かったですね。
- ニューヨークに行って良かったと思う点はありますか?
寺島 一つは街そのものを経験した事です。音楽的には、ニューヨークに集まってくる人達は真剣な人達ばかりなので、その人達に刺激されるんです。特に学生は、日本人同士だと、だらける部分があります。でもニューヨークでは、学生も本気でやっていますから、刺激は非常にあります。ミュージシャンが、世界中から集まってくるので言葉が通じない事もあるのですが、言葉が通じなくても大体お互いに分かるんですよね。僕は、フランス人の21歳のピアニストとセッションで知り合いました。向こうも英語がそんなに話せはしなかったのですが、何とかお互いコミュニケーションをとって、お互いの演奏を聞いて刺激しあいました。同じことは日本ではなかなか難しいと思います。ニューヨークでも、もちろん簡単ではないのですが確実にそういうことが起こり得る場所だと思います。それに全く違う人種で、お互い英語を母国語としない人たちが刺激しあう事は本当に面白いと思います。
- 毎日のピアノの練習はどのようにされましたか?
寺島 スタジオと家です。
- 家で練習していて、周りの住人に何か言われたことはありますか?
寺島 ないですね。でも、たまたま僕が住んでいる所がミュージシャンばかりだったからだと思います。夜中の一時位までならなんとか練習できました。電子ピアノがあったので、電子ピアノの音をすごく小さくして演奏すれば24時間出来ました。ただ、知っている人から聞いたところ、練習環境は日本と変わらず、少し音を立てたら、すぐ文句をいいに来る事も多いようです。でも、近所の人に文句を言われてすぐに謝るのは駄目だそうです。こちらも言い返さないと相手の思ったようになるだけらしいので、いい返す事も頭に入れておいたほうがいいと思います。
― セッションはどこに行かれたのですか?
寺島 スモークとクレオパトラーズニードルです。このジャズクラブでは、自由にセッションに参加できて、いろいろな方と友達になれたので本当に良かったです。このセッションで気付いた事でもあり、ジョアン先生にレッスンでも言われた事ですが、日本では「君、ちょっとうるさいよ」位が、ニューヨークでは、ちょうど良かったんですね。それは「音を綺麗なまま、そのままでかくする」ということなのですが、「音がでかい」というのは、「音が汚い」とうるさいんです。でも、音の質をすごく良くしつつ、綺麗な音を出せば音がどんなに大きくてもきれいに聞こえます。帰国後、日本でピアノの仕事をしていますが、このやり方は日本でも通用しそうな雰囲気です。
- 1ヶ月でずいぶん変わったということですか?
寺島 そうですね。ちょっとマンネリ化していたので、今回留学して自分のやりたかったことは何個か出来るようになりました。でも一ヶ月じゃ少し足りなかったです。本当は、一年位行きたかったですね。
- ピアノレッスンがある日のだいたいのスケジュールを教えていただけますか?
寺島 朝六時に起きて朝食を食べて、学校に行く前に家で30分くらい練習します。その後、30分くらいで語学学校に着いて8時半から12時半まで授業です。昼食は、友達といろいろなところに行きました。その後、6時位までスタジオに入って練習。7時からレッスンでした。
- 結構ハードですよね。
寺島 そうなんですよ。レッスンが終わって8時頃になって、その後セッションに行くか友達と飲みに行ったりしていました。結構、充実していましたね。もちろん毎日こういう生活ではなかったです。毎日が同じだと単調になってしまいますから。でも、ニューヨークの場合は単調にならない。何かしらトラブルがあるんです(笑)。
- どういうトラブルがありましたか?
寺島 電車が急に止まったり、郵便局に自分の荷物を取りに行ったら、今ないから後で連絡すると言われたりしました。「どこに行ったんだ!俺の荷物!」という感じでした(笑)。自分の命に関わるものでなければ、ニューヨークでは、トラブルは逆に楽しんだ方がいいと思います。そういうトラブルも最初は慣れるのに大変だったのですが(笑)。よく考えたら日本はサービスが良すぎるんですよね。
- 今回、旅行ではなく留学、つまり生活をして、旅行と留学の大きな違いはありましたか?
寺島 留学は、自分で行動を起こせるのでどこに行くにしても自由です。旅行だと大体決まっていて、その中でしか動けないと思います。僕の場合は、ほとんどセッションで過ごしていました。向こうで知りあった語学学校の友達がジャズ好きだからとか、音楽好きだからということでセッションに来てくれたりしました。面白い話しがあって、スモークで僕が演奏している最中、僕らの前にいたお客さんが、僕の友達に「君の友達良い演奏しているね」と言って、僕の友達二人にお酒をおごってくれました。
- 寺島さんにはおごってくれなかったのですか(笑)?
寺島 席に戻ったときに握手を求められたくらいでした(笑)。
- クラスメートやセッションでいろいろな人とお会いしたと思うのですが、外国人と付き合うこつはありましたか?
寺島 大抵、日本人の友達に外国人の友達がいるんです。その人に付いて行くと誰か紹介してもらえます。それに学校ではタバコをあげたり、タバコをもらったりしてタバコ友達が出来ます(笑)。火を貸してくれと言われたりして、だんだん会話を始めます。片言で良いんですよね。向こうも片言だし。僕の場合は、ビギナークラスで、ほとんど話せない人が来ているので片言の英語で何とかなるんですよね。なんでもいいから話しかけたり、挨拶したりすると何かしら返ってきます。
- 日本人のクラスメートであまりしゃべれないし、しゃべろうともしない人はいましたか?
寺島 それはいないですね。僕は一番話していない方でした。みんな間違ってもどんどん話していましたし、先生もそれは当たり前という感じで受け入れていました。積極性が出てくるのだと思います。
- 日本の場合、授業で「質問は?」というと誰も手を上げないですよね?学校でそういう事はなかったのですか?
寺島 質問がないのは、日本だけかもしれないです。語学学校の生徒さん達は、イタリア人、トルコ人、韓国人、みんな癖が強かったので質問も多かったです。そうすると日本人も質問せざるを得なくなります。それでみんな質問しだします。僕も、最後には、先生に「郵便局に行かなきゃいけないから早退させて」と、自然に話せていました。自分でもよくしゃべれたなという感じなんですが(笑)。ああいう環境にいると逆にしゃべりたくなる。しゃべらないと損じゃん、という事でしょうね。僕も、英語を話せないと演奏がいくら出来ても、他のミュージシャンや店の人と話せないので面白くないと気づいていましたから頑張りました。
- 音楽だけ出来ても仕方がないということですよね?
寺島 それも今回特に気がついたことですね。日本では薄々感じてはいたのですが、体験しないとはっきり分からないものですね。
- 実際どういうところで英語が必要だったのですか?
寺島 演奏ですよね。曲を始める前にどう事をやりたいかを話し合う時です。セッションの場合、リーダーはいないので曲名を言った人が方向性を決めていきます。大抵は、フロントの人、サックスとかボーカルです。それがいない場合はピアノです。その話し合いには、英語は必須ですよね。
- 留学して良かったと思う事はありましたか?
寺島 レッスン、セッションを含めた音楽と語学です。僕の場合は特に、語学の厳しさを学んだ気がします。英語も音楽と同じくらい刺激がありました。物を買うときもトイレを貸してくださいという時も英語ですからそのような意味で英語の刺激は、生活の刺激になっていると思います。でも、ニューヨークでピアノを弾いているときが自分の中では一番良かったと思います。
- 今後、留学したい人にアドバイスがあればお願いしてよろしいですか?
寺島 まずは、外国に行くのでニューヨークに行った事がある人によく話を聞いて、その文化や生活習慣をきちんと聞いておいた方がいいかと思います。考え方や常識が全然日本と違うので、そのギャップに耐えられる方がいいと思います。それから体は必ず丈夫にして行った方がいいです。例えば、歯が悪かったら完全に直してから行かないと、本当に向こうの病院に通うのは面倒だと思います。音楽的なことでは、日本にいる間は、日本でやっていることをそのまましっかりやった方が僕はいいと思います。向こうでは、日本でやった事を絶対に拒否することはありません。ニューヨークでは、たっぷり向こうのやり方を勉強できます。でも、事前に準備できるものではなく、向こうに行かないと分からないんです。それに音楽に関しては自分で道を見つけていくしかないと思います。それから、日本人以外は自分の国の文化を話すのが好きです。ニューヨークで知りあいになった友達が、「日本人は、自分の国の歴史を知らないね」と言っていました。ニューヨークの方は、「何故日本の歴史を教えてくれないの?」と言ってくるそうです。だから少しは自分の国の歴史も知っておいた方がいいと思います。
- どうもありがとうございました。
寺島優樹さんライブ情報
9月1,8,22,29日 木 新所沢ネイブセッション
寺島優樹(P)越坂部智彦(B)林伸一郎(Dr)
http://www3.atwiki.jp/nave/pages/19.html
9月5,12,26日 月
9月2,9,16,30日 金
新所沢ネイブ
★ティータイムジャムやってます!
毎週 月&木曜日 (祝祭日は有りません。)
14:00~17:00 charge ¥2000ドリンク付
スタンダードジャズナンバー・ポピュラー・ミュージックetc
楽器演奏、ヴォーカルも大歓迎!お気軽にどうぞ。
月曜日 : 寺島優樹(Pf) 越阪部智彦(Ba) GLADYS(Fl)
http://www3.atwiki.jp/nave/
9月7,28日 水 川越コンブリオ
http://www.hoyumedia.com/co/bg/conbrio/
-------------------------------------
9月2日 金 立川ジェシージェイムス
吉本 ひとみ(vo)寺島 優樹(p)川畑 よしのすけ(b) ¥2300 (¥1800)
http://homepage2.nifty.com/jessejames-tachikawa/contents3.htm
9月3日 土 南与野 ジャズまる
寺島優樹 P 中津裕子 B
http://saxyuq.com/jazzmal/map.html
9月9日 金 関内ラフ&スティング
JamセッションDay
寺島優樹Pf上田 基B
1ドリンク付 \1,500-
http://www.lafu-sting.com/
9月10日 土 立川ハーフトーン
YSOP Band !!
bs/川畑よしのすけgt/後藤郁夫pf/寺島優樹ds/上村計一郎
ch\2000
http://www007.upp.so-net.ne.jp/halftone/
9月13日 火 高田馬場サニーサイド
ヴォーカルセッション
MC:\2,500 トミー諸田(Ds)、寺島優樹(P)、厨子秋男(B)
http://www.sunny-side.jp/map_if.html
9月14日 水 池袋ホットペッパー
椙田まり Vo 寺島優樹 P 土谷周平 B 平山満 Ts
http://www.qurie.ne.jp/hotpepper/timeta.html
9月15日 木 外苑前ジマジン
若松孝(Sax)寺島優樹(Pf)山本裕之(Bass)永山洋輔(Dr)
◆OPEN19:00 START19:30 ¥2,500(ドリンク別)
http://www.radio-zipangu.com/zimagine/schedule.php
9月16日 金 学芸大 珈琲美学
秋元直子リーダーライブvol.16
秋元直子 (vo) 清水 昭好 (b) 寺島優樹 (p)
http://www.jazz.co.jp/LiveSpot/coffeebigaku_schedule.html
9月17日 土 池袋L-5 セッション
http://jazzinnlfive.blog113.fc2.com/
9月20日 火 赤坂ノベンバーイレブンス
中野綾子 石倉かよこ 斉藤菫 Vo
http://www.risingdragon.jp/nov11th/blue/2011.09-blue.html
9月21日 水 錦糸町 アーリーバード
A-K-I(vo)北沢直子(p)寺島優樹(b)
\3000
http://e-birdmusic.com/access.html
9月24日 土 上野アリエス ヴォーカルセッション
中野綾子 Vo 寺島優樹 p 土谷周平 b
http://www.jazz-cygnus-aries.co.jp/aries/ari-map.html
9月25日 日 江古田ソルトピーナッツ
18:00~20:30(2セット)
寺島優樹 LIVE
<出演>
寺島優樹(piano)
程嶋日奈子(bass) 工藤 悠(drums)
ライヴチャージ 1000円(入れ替え無し)、
テーブルチャージ 500円(ナッツ類食べ放題)、
ドリンク類 500円~、
ミニマム料金は2000円です。
http://i-saltpeanuts.jugem.jp/?page=1
9月27日 火 水道橋 東京倶楽部
9月30日 金 浅草舵輪
吉本 ひとみ(vo)寺島 優樹(p)川畑 よしのすけ(b)
http://live-darling.com/
Vol.277音楽留学アンドビジョン【講習会&ドイツ留学説明会情報】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━vol.276.2013.11.26━━
◆音楽留学アンドビジョン◆講習会&オーディション&留学説明会情報◆
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━
もくじ
‖【1】ごあいさつ&ご案内
‖【2】講習会情報
‖【3】学校情報
‖【4】国内レッスン情報
‖【5】特別プログラム情報
‖【6】編集後記
‖【7】次回予告
‖ 発行:アンドビジョン株式会社
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━
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【1】ごあいさつ&ご案内
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こんにちは。アンドビジョンの谷山です。
最近、唐辛子入りのホットジンジャーエールを飲みました。温まりますね〜。りんごジュースを
レンジでチンして、シナモンをひとふりするのも美味しいですよ。皆さんのおすすめホットドリンクは?
★★無料留学説明会のご案内★★
準備はいつから?費用は?留学に関する小さな不安や疑問にお答えします。留学への第一歩です!
♪ロシア留学説明会 11月27日(水)19:00〜
♪オーストリア留学説明会 12月4日(水)19:00〜
♪オランダ留学説明会 12月11日(水)19:00〜
説明会以外にも個別のカウンセリングも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【2】 講習会情報
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今週は特色のあるふたつの講習会のご案内です!
<アメリカ>
◆バークリー音楽大学ソングライティング
世界的に有名なバークリー音楽大学が開催する、作詞作曲/ソングライターのための4日間
2014年6月26日〜6月29日
【作詞作曲/ソングライティング(全ジャンル)】
※〆切:定員になるまで
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrxsw0olildbouosHEj
<ドイツ>
◆オクセンハウゼンマスタークラス
N.Y.の人気校が開催する講習会。講師陣にはグラミー賞受賞アーティストも。
2014年3月17日〜9月28日
*各コースによって日時が異なるため、各コースについては下記URLを参照。
【声楽、ヴァイオリン、ピアノ、オルガン、作曲、室内楽、トランペット、トロンボーン、ピアノデュオ、ピアノ伴奏】
※〆切:各コースによって異なる。下記URLを参照。
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrysw0olildbouosCyT
上記以外にも、たくさんの講習会で参加者を募集しています。詳しくはこちらのHP
をご覧ください。
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrzsw0olildbouosquW
資料のご請求、ご質問などある方は
TEL:03-3278-3450
MAIL:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。
までご連絡ください!
ーーーー♪♪♪ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【3】学校情報
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今週はドイツ留学特集。クラシックの本場で本物の音楽を学びませんか?興味のある方は
ぜひ一度お問い合わせください☆
◆ミュンヘン音楽大学
音楽の都・ミュンヘンの名門音楽大学で、一流の音楽をあなたのものに。
【クラシック、ジャズ、民族音楽、映画&メディア音楽、マルチメディア・音楽ジャーナリズム】
申し込み〆切:3月31日(教員養成コースは4月30日、音楽マネジメントは5月31日)
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr0sw0olildboupseIa
◆フライブルグ音楽大学
環境首都の住みやすいフライブルクで、一流の講師陣から学ぶ一流の音楽。
【クラシック、(ニュー・ミュージック)】
申し込み〆切:冬学期:5月1日、夏学期:前年12月1日
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr1sw0olildboupsXFX
上記以外にも、世界各国の学校情報を豊富にご用意しております。希望に合った
学校がきっと見つかるはず!詳しくはHPへ。
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr2sw0olildboups1Zf
“留学したいけど何から始めていいかわからない”“出願書類作成や入試手続き、
一人で出来るかな?” など、留学には不安はつきもの。アンドビジョンでは、
“入試合格前サポートパック” をご用意して、留学前の皆さんをサポートしてい
ます。詳しくはお問い合わせください。
資料のご請求、ご質問などある方は
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【4】国内レッスン情報
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公開レッスン用のFaceBookページもあります!要チェック☆
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr3sw0olildboupsIv0
☆今週のピックアップ☆
◆ドイツ国立トロシンゲン音楽大学シュテファン・ボルンショイヤー先生ヴァイオリン公開レッスン
2014年1月8日(水)
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr4sw0olildboupsY58
◆オーストリア・ウィーン国立音楽大学ステファン・モラー教授ピアノ公開レッスン
2013年12月11(水)〜13日(金)- 東京
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr5sw0olildboupsE3C
●パトリック・ジグマノフスキーピアノマスタークラス&ジグマノフスキークラスオーディション
パトリック・ジグマノフスキー先生に師事。 憧れのパリ・エコールノルマル音楽院留学の切符を手に入れよう!
※レッスンは満席、現在聴講生を受付中!
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◆国立ライプツィヒ音楽大学・クリスチャン・ポール教授ピアノ公開レッスン
2013年12月20日(金)〜21日(土)
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr7sw0olildboupsUvp
◆国立ミラノヴェルディ音楽院デルフォ・メニクッチ教授 声楽公開レッスン
2014年3月8日(土)〜13日(木)
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr8sw0olildboupsuXG
◆ドイツ・ベルリン芸術大学ゲルト・ウルリヒ・ボアマ准教授声楽公開レッスン
日独リーダークライスの発起人でもあり、日本人学生の指導経験豊かなテノール歌手
2014年3月26日(水)
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vr9sw0olildboupsVk7
◆フランス・パリ地方音楽院/スペイン・カタルーニャ高等音楽院ピエール・レアク教授/ピアノ公開レッスン
2014年4月3日(木)〜5日(土)
http://k.d.combzmail.jp/t/4y39/c0vrasw0olildboupsx4s
◆ブリュッセル王立音楽院・王立モンス音楽院ダニエル・ルービンシュタイン教授ヴァイオリン・ヴィオラ公開レッスン
2014年4月12日(土)
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そのほかにもたくさんの情報をご用意しております。詳しくはHPへ。
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“受講はまだ自信ない…” という方は聴講のみでもご参加いただけますよ。
当日は会場にアンドビジョンスタッフが待機しておりますので、
留学や受験に関する相談も随時受け付けます♪
早い段階で定員になることが予想されますので、お申し込みはお早めにどうぞ☆
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アンドビジョンでは留学のための語学レッスンも行っています。先生はもちろん
各国のネイティブスピーカー。レッスン時間や内容は、すべてあなたに合わせて、
フレキシブルに更可能。ご自分にあったカリキュラムをリクエストできます!実際、
留学経験者の多くが、渡航前に準備すべきだったこととして、語学をあげられます。
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【5】特別プログラム情報
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“海外の空気の中で音楽を体感したい” “あこがれの先生に習ってみたい”
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【6】編集後記
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気になる情報はありましたか?夢への最初のステップになれたら嬉しいです☆
皆さんからのご意見・ご感想をお待ちしてます♪
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そして、ご友人にも是非ご紹介ください!(゜▽゜)
メルマガ登録は、やメールアドレス変更は簡単に登録できます!!
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それでは、また来週〜☆
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【7】次回予告
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次回のメルマガは、
12月3日(火)発行予定です。
お楽しみに!p(^^)q
中島岳大さん/ジャズサックス/ジョンゴードン・アンドビジョン特別プログラム/アメリカ・ニューヨーク
20歳よりサックスを始める。会社員を経て現在、立正大学3年。2008年アンドビジョン特別プログラム、ニューヨークジョン・ゴードンのサックスレッスンに参加。
-簡単な自己紹介をお願いします。
中島 青山学院大学で経営学を学んだあと、就職しました。関西の大手電機メーカーに勤めていました。しかし、家の事情もあり、急遽会社を1年で辞めることになり、実家に戻りました。現在は、立正大学の3年に編入しまして、仏教を勉強しています。
-サクソフォンを始められたきっかけを教えてください。
中島 今から4年程前、前の大学の3年生のとき、何か楽器を始めたくなったんです。本当は葉加瀬太郎さんに憧れて、バイオリンをやりたかったんですが、友達が先にバイオリンを始めちゃったんですよ。その友達はすごい努力家なので、同じ楽器を始めてもかなわないかなって思ったんです。そんなときに、ストリートミュージシャンでサックスを吹いている人を見かけたんです。その方は会社を辞めて、27歳からプロになった人で、これなら自分もうまくなれるかなと思って始めました。実に甘い考えでしたね(笑)
-今はどこかで習っているんですか?
中島 有楽町にある山野ミュージックサロンに通っています。
-海外の先生のレッスンを受けたことはありましたか?
中島 まったくないです。今回が初めてです。
-今回、留学したいと思ったきっかけは何ですか?
中島 もともとニューヨークに憧れを持っていたんです。2007年にヤマハのサックス合宿に参加しまして、そこで初めてジャズと出会いました。それから興味をもったんです。そしてジャズの本場のアメリカ・ニューヨークに行ってみたいと思っていたのが留学のきっかけです。
-ニューヨークに行きたいと思ったのはサックスを始めてからですか?
中島 そうですね。サックスの影響が大きいです。クリント・イーストウッドが撮った『BIRD』という映画があって、ニューヨーク等を舞台にチャーリー・パーカーが活躍するんです。それを観て、漠然と一度は行ってみたいなと思っていました。
-今回が初めてのニューヨークですか?
中島 そうです。偉大なミュージシャンたちと同じ土を踏めて感動しました。
-今回の留学でジョン・ゴードン先生を選んだ決め手はありますか?
中島 アルトをメインに吹かれていたということと、ジョン・ゴードン先生がフィル・ウッズに師事されていたということです。フィル・ウッズは憧れの奏者なので。
-ジョン・ゴードン先生はどんな方でしたか?
中島 厳しい方でした。普段は温和で優しい方なんですが、レッスンでは熱くて厳しい方ですね。最初に「せっかく高いお金を払って、日本からわざわざニューヨークに来たんでしょ。何かを君にあげたい。何かを持って帰ってもらうから」って言われました。
-レッスンは週に3回で4週間。全部で12回でしたよね?
中島 最初の予定ではそうだったんですが、先生もライブなどで忙しい方だったので、週に2回になって、1回のレッスンが90分〜2時間と時間が延びるというかたちで変則的でした。結局、レッスンは全部で7回でした。
-時間的には同じですか?
中島 結局12時間なので、同じです。最初にガイダンスをして、お互いに1回のレッスン時間を延ばした方が時間が取りやすいということになったんです。先生もレッスンの時間が取れないし、自分も週3回レッスンが入ると、練習時間がなかなか取れない。なので、週2回のレッスンは、逆にすごく時間が取りやすかったです。
-レッスンはどのように進んで行きましたか?
中島 基本はスケール中心のレッスンでした。最初にウォーミングアップをして、その後2〜3曲練習しました。1時間くらい練習をしたら、楽器をしまって、イヤートレーニングをしました。ジャズの曲をYouTubeなどの映像を見て学ぶんです。先生がおすすめの曲を見せてくれて、それを聴いて勉強しました。1回のレッスンは、そういう流れで進みました。
-全部で12時間のレッスンを受けて、上達を実感しましたか?
中島 一回一回ついていくので精一杯でしたね。先生には“Much Better!(良くなってるよ)”と言われましたけど、自分ではなかなか自覚できませんでした。
-練習はどこでされましたか?
中島 ホームステイ先の家でしました。
-練習環境はどうでしたか?
中島 よかったですよ。家に地下室があって、そこでいつでも練習できたんです。お父さんが、音楽を聴くのが好きな人で、地下室がDJスペースなんです。最初に「部屋でサックスの練習をして大丈夫か?」って聞いたら「ちょっとおいで」って言われて、地下室を案内されて、「ほら、ここなら大丈夫だろ」って言われました。防音ではなかったんですが、大きな音を出しても誰も全然気にしないという感じだったので、思う存分練習できました。
-ホストファミリーはどんな方たちでしたか?
中島 話しやすい方たちでした。それでも、お互いプライベートなことまで干渉することはなくて、アメリカってそういう国なんですかね。食事はつかないという話だったんですけど、ときどき作ってくれたし、隣の家のお昼に招待してくれたりもしました。
-へー。いいですね。
中島 「鶏肉の料理、作ったから」ってお呼ばれしたのですが、それがすごくおいしかったです。チキンが丸ごとドーンっと出てきて、「アメリカの食事はおいしくない、なんて誰が言ったんだろう?」って思うくらいおいしかったです。
-いいですね(笑)。レッスンの話に戻りますが、通訳なしでの英語でのレッスンはいかがでしたか?
中島 先生が容赦なかったので・・・最初は全然聞き取れませんでした。止まらないんですよ。バーッと話されて、“Do You understand?”って聞かれても、ほとんど分かりませんでした。1週間が過ぎた頃から、徐々に慣れてきて、なんとなく言っていることが分かってきて、単語も少しずつ覚えて、分かるようになってきました。でも、最後まで聞き取りには苦労しましたね。だからと言って、レッスンに大きな支障が出るということはありませんでした。レッスンは、最低限分かっていれば、大丈夫です。
-教わったことで印象に残っていることはありますか?
中島 「サックスはシンガーのように、歌うように」とよく言われたことです。「歌うときに、高音をキューッと出したりしないだろう」と言われました。あとは、アンブシュア(くわえ方)が、今までやってきたやり方と違っていて、「ジャズはもっと楽に、自然体で」と言われて、最初はそのやり方でだいぶ苦労しました。
-即興のレッスンはありましたか?
中島 そこまではいかなかったですね。これから即興をやっていく基礎として、スケールの練習はたくさんしました。ただ、「マイルス・デイビス(トランペット奏者)のソロ・アルバム『カインド・オブ・ブルー』を買って来て、ソロを覚えなさい。暗記して、次のレッスンのとき、歌いなさい」って言われたんです。でも、それがなかなかできなくて、ニューヨークにいる間、ずっと練習していました。そういう練習が、これから即興をするときに役に立ってくるそうです。先生いわく、「暗記できれば演奏もできる。まずはいいものをたくさん聴いて、吸収して練習しなさい」と。
-いろいろと新発見が多かったようですね。
中島 そうですね。多かったですね。こんなにアップアップになったのは、久しぶりでしたね。追い込まれましたよ。休みの日に何も予定がないときは、朝起きて、近くにあったダンキンドーナッツでドーナッツを買ってきて、あとはずーっと丸一日、地下室にこもりっぱなしでした。家の人も「お前は、ずっとやっているな」って。家の人たちは、上でパーティーをしていて、がんがん音楽も鳴らしていて、誘ってくれたりもしたんですが、「明日レッスンあるから、それどころじゃないんで……。練習しなきゃいけないんで」という感じでした(笑)。
-すっかりミュージシャンですね。
中島 ははは。すっかりミュージシャンになった気分でしたね(笑)。大変だけど、やらなければいけない。僕が他の生徒さんと決定的に違ったのは、譜読みが苦手なことだと思うんです。ゆっくりやればわかるんですけど、テンポが速くなると、読めなくなってしまいます。今までのレッスンであれば半年以上かけるようなスコアを来週までに1週間でやらなければいけない。しかも、それだけではなくて、スケールもあるし、エチュードもあるし……、本当に殺人的でしたね……(笑)。
-日本に帰ってきて、身についたことが活きているな、と思うことはありますか?
中島 「もっと大きく!強く息を入れて!」と注意されたので、音の大きさは違うと思います。それから楽器が鳴るようになりました。アメリカでようやく楽器と仲良くなれましたね。
-サックスを始めてから、4年間、同じ楽器を使われているんですか?
中島 いや、違います。今年の2月に買い変えた新しいものを使っています。買ってから、なかなか懐いてくれなくて困っていたんですけど、手に馴染んできましたね。向こうで、一日中ずっと吹いていたのが、良かったのかもしれないですね。
-最後のレッスンは何をされたんですか?
中島 総決算という感じで、覚えた曲を全部やりました。本当に汗びっしょりになりましたね。初めてです。レッスン中にあんなに冷や汗かいたのって(笑)。レッスンが終わったあとはぐったりでした。
-語学学校にも行かれたんですよね。
中島 はい。LSIという学校で良かったですよ。施設はきれいだし、道も分かりやすかったので、良かったですね。
-クラスには何人くらいいましたか?
中島 10人ぐらいです。会話重視のクラスもあれば、文法重視のクラスもあって、先生によって講義の内容が全然違うんです。自分の場合、2週間目くらいで先生が退職なされて、途中から違う先生に変わったので、2人の先生を味わえて、なかなかおもしろかったです。
-内容はどんなものでしたか?
中島 最初の先生は会話が多かったです。天気の話とか趣味の話とかスポーツとかお題が出て、それに沿って会話をしていく授業でした。2人目の先生は、どちらかというとグラマー中心で、現在完了がどうちゃらこうちゃら(笑)といった内容でした。
-クラスの人たちはどこの国の人が多かったですか?
中島 フランス、スペイン、イタリアあたりが多かったですね。日本人は少なくて、最初は自分しかいませんでした。
-宿題が出されることはありましたか?
中島 最初の先生のときはありませんでしたが、2人目の先生のときはありました。といっても、たいした量ではないです。
-どんなスケジュールで動いていたのですか?
中島 語学学校が13時前には終わるので、そのあとみんなでランチを食べて、すぐにジョン先生のところに行って90分くらいレッスンを受けたら、帰りに飲み物や簡単な食べ物を買って、帰ったらすぐにサックスの練習。10時くらいまで練習したら、寝るようにしていました。
-濃厚でしたね。
中島 自分でもよく乗り切ったと思います(笑)1ヶ月間よくやったな、と。レッスンがない日は、語学学校が終わったら、ご飯を食べて、買うものを買って、17時くらいには家に帰る。そのあとはずっと練習していました。
-17時〜22時まで5時間も吹き続けるって、すごいですね。
中島 疲れますね。みんなはけっこう遊びに行くんですよ。「お前もどっか行かないか?」って誘われるんですけど、「申し訳ない。練習しないと、明日大変なことになるから」と断っていました。
-そうすると、あまり遊びには行かなかったんですか?
中島 いえ。土日は時間を作って、けっこういろいろ出かけました。ブロードウェイのミュージカルも観に行きましたし……。ミュージカルは『レント』と『マンマミーア』を観ました。すごくよかったですよ。
-そういう時間も作れたんですね。
中島 あとは、ヤンキース・スタジアムにも行きましたし、ハーレムへゴスペルも聴きに行きました。ハーレムは一人では動きにくいこともあると思って、旅行会社のツアーで行きました。面白かったですよ。土日はどうしてもまるまる空いてしまうし、食事も出ないので、とりあえずいったん外に出て、ご飯を済ませて、帰ってきてから練習するようにしていました。
-ご飯はどうされていましたか?
中島 朝ご飯は家にあったシリアルか、マックかバーガーキングです。5ドルだから、日本よりも少し安いかなというくらいですね。ランチやディナーは14ドルくらいでした。日本食もけっこうたくさんありましたね。お寿司はどこに行っても食べられます。韓国料理屋でも中国料理屋でも寿司があるんです。寿司といっても日本料理屋じゃないから、ロールですけどね。
-街の様子はいかがでしたか?
中島 治安は良かったですよ。マンハッタンにいる限りは、何も危険なことはありません。ただ、ブルックリンになるとあまり遅くにならない方がいい、という話は聞きました。自分のホームステイ先はブルックリン地区でしたが、22時とか23時になると、少し治安が悪い感じがしました。自分が住んでいるあたりがちょうどボーダーで、そこより東に行くと、昔の貧困層の黒人さんが住んでいる地域なので、これ以上行くと危ないですよ、ということを言われました。マンハッタンで動く分には何も問題ありません。危険なところに入らなければ、大丈夫です。
-楽器の通りにも行かれましたか?
中島 行きました。ギターのお店が多くて、管楽器のお店はそこまでたくさんはなかったです。チェルシーの方にも行ったんですが、テロ以降客足が減ってしまい、管楽器のお店も減ってしまったようでした。
-そうなんですね。
中島 とはいえ、貴重な物も見れましたよ。
-どんなものでしたか?
中島 すごく古いマースピースで、ニューヨークで作られたもので、数が少なくて貴重なものなんです。往年のジャズ・ミュージシャンが好んで使っていて、作りもいいし、音もいいと言われています。
*近年、日本人の楽器バイヤーが現地に大量に買い付けにいき、そのせいで一般の日本人客が購入を断られるケースがあるようです。あくまでもお店の人の好意で話してくれたことなので、表現を変えさせていただきました。
-購入されたんですか?
中島 それは高くて買えなかったですね。10万近くするんですよ。
-ニューヨークの人たちはどんな感じでしたか?
中島 気さくですね。例えば、朝、道路が混んでいて、「先にどうぞ」って言うと、笑顔で手を振ってくれるんですよ。日本ではないなぁ、と思いました。愛想がよくて、そうしてもらえるだけで、1日が楽しくなるような感じでした。電車の中で、「お前どこで降りるんだ?」って聞かれたので、「カナルストリートです」と答えたら、「手前の駅で降りるんだけど、すごく疲れていて寝たいから、着いたら起こしてくれ」と言われました。そういう交流も面白かったですよ。ニューヨークの人は明るいですし、親切だと思います。
-交通はどうでしたか?
中島 使いやすいですね。最初のうちは間違えたりもしたんですけど、マンハッタン中地下鉄が張り巡らされているので、とても便利です。慣れちゃえば、こっちのもんですね。
-そうすると、ニューヨークはもうバッチリですね。
中島 そうですね。大丈夫だと思いますよ。
-移動はほとんど地下鉄を利用されていた感じですか?
中島 地下鉄が多かったですね。1ヶ月のフリーパスを80ドルで購入しました。どこでも乗り放題なので、便利でしたよ。バスも使いましたが、バスで行ける距離は歩いても行けるし、運行スケジュールもよくわからないので、地下鉄が一番便利で確実でした。タクシーも使わなかったです。現地の人も言っていましたが、どちらかというとドライバーは移民の人が多くて、道を知らないことも多いんです。だからマンハッタンの中でもホテル名を言ってもわからないので、何丁目に行ってくれって言わなきゃいけないんですよ。それから、マンハッタンを出てしまうと帰ってくるのに時間がかかるので乗車拒否をされてしまう、という話も聞いたので、タクシーは使わなかったですね。
-海外の方とうまく付き合うコツはありますか?
中島 まだよくわかりません。あるとすれば、話すこと、しゃべりかけることだと思います。先生とのコミュニケーションで一番問題だったのは、練習をしていないのか、練習をしてもできていないのか、それを分かってもらうことでした。ただ「やりました」、「ベストは尽くしているんです」だけでは伝わらない。言うべきこと言って、自分の情報を伝えるようにしていました。
-留学中に何か困ったことはありますか?
中島 外出中のトイレですね。楽器とかバッグを持って大荷物でうろうろしているので、急にトイレに行きたくなったときに困りました。公衆トイレは危ないらしいんですよ。ホテルのトイレの方が安全だと言われている。そういうところまで行かなければいけないのが大変でした。あとは、食べ物も困らなかったし、水も大丈夫でした。ほとんど東京と勝手が変わらないので、何も問題はありません。意外とすんなり自然に入っていけましたね。
-参加してよかったと思う瞬間はありましたか?
中島 外国人の友達ができたときですね。語学学校で仲良くなって、一緒にニューヨークのブルーノートに行ったんです。ブラジル人とロシア人とイタリア人で、みんな出身国がバラバラで、それでも同じ拙い英語を一生懸命使ってコミュニケーションを取ったんですよ。今までまったくバラバラの国で会うはずがなかった人間たちが、集まって同じものを見ているというのは、不思議だし、すごいなと思いました。
-日本とアメリカで大きく違う点はありましたか?
中島 みんな音楽が好きですね。音楽を鑑賞する、楽しむという文化がすごく根付いていて、みんなでワーッと盛り上がるんです。そういうところがいいなと思いましたね。本当に音楽の街で、どうしてこういうところでジャズが発展してきたのか、ということがなんとなくわかりましたね。有名なブルーノートとかヴィレッジ・ヴァンガードとかコットンクラブだけじゃなくて、いたるところにジャズクラブがあって、街中に音楽で溢れているんです。ストリートミュージシャンもたくさんいて、電車に乗っていても必ずミュージシャンが乗ってくるんです。ギターの人もいれば、バイオリンを弾きながら入ってくる人もいる。
-弾きながらですか!?
中島 一人弾き終わっても、次の駅で、必ず乗ってるんですよ。“Good evening!”って入ってきて、「楽器をやるから聞いてくれ」って。それで弾いて、演奏が良ければ、みんなお金をくれるんですよね。その辺が寛容ですよね。音を出しても別に何も言わない。地下鉄の中では、退屈しなかったですね。ちっちゃい子も来るんですよ。親子でお父さんがギターで、子供が笛を演奏していたり……。もう本当にさまざまです。駅でもペンキの空いた缶でドラムをやる人もいれば、ソプラノサックスをやっている人もいるし、トランペットを吹き始める人もいれば、チェロを弾いている人もいる。東京でそんなことをしたら、追い出されますよね。東京でもそういうことをしたら、おもしろいと思うんですけどね。すごくいいですよ。
-生活面では何か違いはありましたか?
中島 すべてが違うんじゃないですかね。ホストファミリーですが、どこかに出かけても家にすぐ帰ってくるんです。仕事をしている人も会社が終われば、すぐにバーッと帰っちゃいます。あんまり、どこかに行って飲んだりしないんです。アメリカ人って、特別な日以外はそこまでお酒を飲んだりしないみたいですね。パーティーのときは、お酒を飲んだりもするんですけど、普段の生活は質素ですし、着ているものもすごく質素です。
-ドラマなどでのアメリカのイメージとはちょっと違いますね。
中島 若い人は違うのかもしれませんが、ね。家族をすごく大事にしていますね。食事も、必ず家族全員で食べますし、食後はみんなで手をつないでお祈りをして神様にありがとうございました、って必ずやるんですよ。ちっちゃい子も恥ずかしがらずにやります。日本だと、家族でもバラバラに食べるし、会社の帰りに飲んで帰ったりする。そういう生活習慣は、自分はアメリカの方が好きなので、こういうのが大事だよな、って思いました。
-なるほど。他に感じたことはありましたか?
中島 アメリカ人は好戦的なイメージだったんですが、ちょうど留学中にグルジアに軍隊が侵攻したんです。そのときに、国連の建物に行ったら、大勢のアメリカ人が「ロシアから軍隊を撤退させてくれ」ってプラカードを持って、「戦争はやめろ」って訴えていたんです。アメリカ政府は、テロのこともあって、攻撃的なイメージがありますが、アメリカ国民はもう全然望んでないんですよね。もう戦争はたくさんだっていう雰囲気でした。
-なるほど。
中島 それから、本当に適当でしたね。地下鉄のアナウンスとか丸々間違っていて、完全に別の路線を指していたりするんですよ。なので、実際に自分で見て確認するしかありません。駅員の中にも、80ドルのチケットなのに100ドル寄越せって言って、20ドル取ってしまう、そういうことをする人はいるんです。やはり勤勉でまじめなのは日本人だなと思いました。どこの国も一長一短で、良いところもあれば悪いとこもあるんですよね。
-留学前にやっておいた方がいいことはありますか?
中島 語学ですね。CDを使って、少し耳を慣らしておいた方がいいかもしれないです。自分は大丈夫だろうと考えていたんですが、最初の1週間はついていくのが大変でした。語学学校の先生さえもすごく早口に感じて、慣れるのに時間がかかりました。ダイハードでもなんでもいいから、ニューヨークの映画を観たりするのもいいと思います。背景を知っておくと、おもしろいですしね。
-レッスン前にやっておいた方がいいことはありますか?
中島 自分はそんなに上手ではないし、音楽の知識もないので、アドバイスできることはないんですけど、とりあえずニューヨークに行ってジャズを勉強したい人がいるなら、ある程度、譜読みに慣れておいた方がいいと思います。それから、たくさん音楽を聴いておいた方がいいですね。
-似たようなことになるかもしれませんが、今後、留学する人にアドバイスをお願いします。
中島 留学を迷っている人は、どんどん行ってしまって構わないと思います。技術に自信があればどんどん行った方がいい。自信がなくても、どんなレベルの人にも合わせてくれると思うので、行ってしまっていいと思います。僕自身、日本の恥さらしをしなかったか不安なんですけどね(笑)。
-今後はどのように音楽と関わっていきたいですか?
中島 基本的に今のレッスンを続けていこうと思っています。例えば来年は友達の結婚式があって、何か一緒に演奏をしようと話しています。趣味の範囲なんですけど、これから一生付き合っていけるいい相棒ができたかなと思っています。
-お友達がバイオリンを始めてよかったですね。
中島 そうですね。負けず嫌いなんで、負けてなるものかと思って、今でも一緒にやっています。楽器が日常にあると毎日が楽しくなってきますよね。
-また海外で勉強したいと思いましたか?
中島 機会があればいつでも行きたいです。1週間後でも行きたい(笑)。とにかく毎日が楽しかったです。英語で授業を受けていることも楽しかったし、いつでもジャズを聴きに行けるし、ニューヨークはいいところでした。そうですね、1年くらいいてもいいかな(笑)。
-4週間は短かったですか?
中島 みっちりでしたね。1年くらい向こうにいたかったですけど、体力的にバテてくるので、語学学校もレッスンもあるこういうプランだったら4週間がベストかもしれませんね。2週間だとちょっと少な過ぎるかな、3週間でもまだまだ、ちょうど4週間目に慣れてくる感じなんですよね。レッスンも流れも覚えて、楽器もエンジンがかかってきたかな、というところで帰らなきゃいけないんで、あともう1週間あってもいいのかな……。50日くらいのプランがあるといいですね。
-最後に何か言い残したことはありますか?
中島 ニューヨーク、アメリカはおもしろいところですよ、ということですね。今回は時間がなくて行けなかったのですが、博物館もあるし、ワシントンD.C
に行って、ホワイトハウスを見ることもできますしね。見るところが盛りだくさんですね。
-そうですね。今日は本当にありがとうございました。
鈴木晴美さん/ピアノ/ジュヌヴィリエール音楽院/フランス・パリ
愛知県立芸術大学卒。エコールノルマル音楽院およびパリ・スコラカントルム音楽院卒業。U.F.A.Mコンクール室内楽部門第2位、サン・ノム・ド・ラ・ブルテッシュ国際コンクールにてファイナリスト。フランス・クリダ氏より「リスト賞」受賞。2004年パリ・スコラカントルムにてエリック・ハイドシェック「ベートーヴェンピアノソナタ全曲マスタークラス」全16回出演および同音学院コンサーティストディプロムを取得。現在、ジュヌヴィリエール音楽院室内楽科在中。
- 鈴木さんの簡単な略歴を教えていただけますか?
鈴木 母がピアノ教師だったので家にピアノがあり、それがきっかけで四歳からピアノを始めて、十歳から本格的な勉強を開始しました。高校の音楽科を卒業後、愛知県立芸術大学を卒業、その後パリに留学しました。
- パリは何年目になりますか?
鈴木 丸八年になります。
- 今までどこの学校に行かれましたか?
鈴木 最初はエコールノルマル音楽院に五年間、その後パリ・スコラカントルム音楽院を一年で卒業して、今はパリ北の郊外にあるジュヌヴィリエール音楽院室内楽科で勉強しています。その学校で二年目です。
- ずいぶんと長いですよね。
鈴木 最初はあまり長いつもりで来たわけではないです。二〜三年かなと考えていたのですけどだいぶ長くなりました(笑)。
- 留学したきっかけはどんなことですか?
鈴木 1998年に日本で講習会に参加してフランスのピアニスト、エリック・ハイドシェックに出会ったのがきっかけです。彼に出会って何か運命的な物をすごく感じてしまい、あっという間に心が留学すると決まってしまいました。「彼がパリに住んでいる=パリに行こう」という単純な気持ちから決めたのですが、彼は当時すでに定年を迎えて学校では教えていなかったので個人的に習うことなりました。個人的に師事する場合、フランスに長く滞在するのは難しいのでやはり学校を決めなければならず、別の講習会に参加した時に、そこで出会った先生にエコールノルマル音楽院で習うことになったヴィクトリア・メルキ先生を紹介して頂きました。ヴィクトリア・メルキ先生は、フランスのクールシュベール夏期国際音楽アカデミーで毎年夏に講習会をされているので、クールシュベールに行きそこからエコールノルマル音楽院に入学となりました。
- 留学するまでは一〜二年かかったのですね?
鈴木 そうですね。留学したいという気持ちは昔から漠然とありました。でも、本当のきっかけは講習会に参加して学校や先生を決めてからです。そこからフランスに渡るまでは一年くらいかかりました。
- 一年半の間にフランス語の勉強もなさっていたのですか?
鈴木 フランス語学校で一年半程度、フランス語は勉強しました。
- フランスに行ったときはその語学力で何とかなりましたか?
鈴木 あんまり…ですね。やっぱり日本で語学を勉強してもなかなか身につかないと思います。メルキ先生は、フランス語でレッスンをされるので少し聞き取れる位のレベルにはなっていたと思いますが。もちろんフランス語のもっと良く分かる現地の生徒さんにもたくさん助けていただきました。
- エコールノルマル音楽院は特に試験は無いのですか?
鈴木 無かったです。メルキ先生に、エコールノルマル音楽院に入学する以前に出会っていましたので先生に紹介状を書いていただいて、それをもって入学手続きをしました。
- 学校からは、入学許可証が来るのですか?
鈴木 先生に出会ったのが夏でした。学校が始まるのが大体9月-10月なので紹介状を持って自分で学校に出向いてメルキ先生のクラスに登録しました。どのレベルに在籍するかは先生から全部書いていただきました。そんな感じで結構スムーズに入学は出来たと思います。もし紹介がない場合は、校長先生の前で実技試験があると聞いています。
- ビザはどのようにされましたか?
鈴木 メルキ先生と私の相性がいいかは大事なことですので、クールシュベールへはビザを取らずに行きました。その後、メルキ先生とお話がつきましたのでその紹介状を持ってエコールノルマル音楽院にまず仮登録をしました。仮入学許可証を発行してもらって、一度日本に戻って、大阪の領事館で学生ビザをとりました。
- 一度、日本に帰ったのですね?
鈴木 そうですね。もしかしたらメルキ先生のレッスンを受けてみて、合わないこともあると思ったのです。あんまりいいかげんに留学を決めたくなかったので、一度日本に戻る事は最初から決めていました。
- フランスのお住まいはどうしたのですか?
鈴木 クールシュベールの後、フランスはまだ夏休みで学校は始まっていなかったのでその期間にアパートを探しました。知り合いのお家に居候で泊めさせていただきながらアパートを探して、運良く一ヶ月の間にパリ四区にステュディオ(日本でいうワンルームタイプのアパート)を見つけました。それから日本に戻りました。
- アパートはピアノが演奏できる所ですか?
鈴木 はい。偶然ですけれども。環境が日本でいう二階、フランス式だと一階でしたが、下に誰も住んでいない角部屋でした。隣には家族で住んでいる大きなアパートがあり、そこの息子さんがピアノを弾いていたんです。それでピアノの音に余り敏感ではない環境であると判断してそこに決めました。おかげさまでアパートの住民の方と交流もあって結構楽しかったです。その後、二年半くらい住んで引越しをしました。
- 留学生は、現地でピアノを借りるのですか?
鈴木 私はタイミング良く日本に帰るピアニストの方から中古で売ってもらいました。レンタルは、月に二万円くらいだと思います。日本で弾いていたピアノを船便で送ってくる人もいるみたいです。
- すごいですね。
鈴木 大変ですけれども、どうしても自分の弾いていたピアノがいい人はそうするようです。中古を買う場合、あまりいいピアノにあたらない可能性も多く、ピアノを新品で買う人もいます。毎日の練習のことですので納得のいく楽器で皆さん勉強したいと思うのは当然なので、とても大変だと思いますけれども、日本から自分のピアノを運んだという話は割と頻繁に聞きます。
- そんなに珍しいことではないのですね?
鈴木 大変だ、とは思いますけど結構そうしている人はいます。時間もかかりますし、船で来るということはピアノが揺れますし、湿気もあるだろうし…。絶対届くとは思いますけれども、日本からフランスまで遠いし心配ですよね。ピアノを運んでいる間は仕方がなく、練習室で練習している人がいます。
- なぜお引越しをなさったのですか?
鈴木 アパートの大家さんが自分の息子に部屋を与えたいから出ていってくれ、ということになりました。本当にびっくりしました。まだ住んでいるのに出て行けなんてあるのかと(笑)。フランスに住んで二年半くらいしか経っていなくて、話し合いが出来る語学レベルではなかったので、環境を変えてみるのもいいかと前向きにとらえて引越しをしました。でも、親切な大家さんでしたので部屋が見つかるまでは、居ていいと言ってくれました。
- どの程度でフランスの生活に慣れてきましたか?
鈴木 最初の一年は全然慣れないですね。まず言葉が追いつかないし、日本でやったことのない滞在許可証の手続きなどに追われます。最初の一年はバタバタです。二年目から一年目にやったことがだんだん生きてきます。フランスに住んでいると日常的に小さなハプニングが多いので、それにもびっくりせずにフランスの良さも見えてきたのが2年目くらいから。その頃からフランス人の友人も出来たので、フランスの日常生活を見る機会が増えました。そうしているうちに三年目位には慣れてきたと思います。
- フランスだとホームシックになる方は結構いますよね?
鈴木 なんでそうなるかはよく分かります。フランスは、個人主義社会なので自分のことは自分でやるのが基本姿勢ですし、フランス人と日本人は、コミュニケーションの仕方があまりに違うという事もあります。私達日本人は周りに合わせたり、おとなしくしがちであまり主張することに慣れていません。そういうことから周りのフランス人においていかれるような感覚になる人は結構いると思います。それにフランスという国は不便です。日本は何でも便利に出来ていてスムーズに事が進むし、気遣い文化が日常社会にあるので、ぶつかる事や嫌な思いをする事はあまりありませんが、フランスではみんな勝手にどんどん自己主張していくので生身の人間同士がぶつかる機会が結構多いのです。そこで壁にぶつかりさらに他にも悩みがあったり体調が悪かったりすると、ぐっと落ち込んでしまうことはあると思います。
- フランス人とフランスの社会の中で生活していくのは大変ですか?
鈴木 大変というか日本とは違うと思います。フランスにいると言葉少なく黙ってニコニコしていても、それを良しとは思われず何を考えているか分からないと思われてしまう。するととたんに彼らは冷たいんですね。多少変わっていると思われても、どういう人間であるかを彼らはすごく知りたがるので主張していくことが大事です。その主張していく姿勢が日本人にとってはかなりストレスになると思います。特に環境も変わったばかりで日本語も通じないし、主張しろと言われても最初みんな戸惑うのは当たり前だと思います。でも、そこから脱出する勇気が必要で、それは多分現地の友達などに助けてもらうのが1番でしょうね。例えばフランス語をだんだん話すようになって間違っていても、間違っているよと言ってもらえばいいわけです。そういう日常的なところからできるようになれば、段々話せるようになると思います。そういう繰り返しですね。本当に語学は大事だと思います。
- フランスでは、ラテン系の国ではどれだけ話せるか、というのがありますか?
鈴木 最初フランスに来たときはカルチャーショックで、フランス人はラテン系だからオープンで何でも話すし、ディスカッションも積極的にしていて、いかにも人懐っこいと思い込んでいました。でも少し経って違うと感じ始めました。フランス人を表す面白い表現があるのですがそれは、『鬱のラテン系』という表現で、なるほどと思う事が多いです。特に最初は人見知りというか、わりと他の様子を伺っている気がします。本当に気が合ってしまえば途端に本当の家族のように受け入れてくれて、「なんでも相談してくれて良いのよ」となるのですが、最初はかなり用心していると思います。それと彼らは気づいていないのかも知れないのですが、フランス語にすごく誇りを持っていて、英語もあまり話さないしフランス語が話せないということをあまり納得してくれない。外国人だから話せなくても気にしないで、と口では言っても態度では嫌というところが出ます。それを私はすごく感じます。
- 本当にフランス語をみっちりやっておかないといけませんね。
鈴木 語学はやった方が絶対にいい経験が出来ます。コンプレックスを持ってフランスにいるとすごく不幸だと思います。だんだん締め付けられてしまう。なるべく明るくフランス語で会話が出来るようになれば、いろいろ不便なこと嫌なこともこんなものかなと思って乗り越えられるようになると思います。私は、言葉はすごく大事だと思っていますね。
- 授業はどこの学校でもフランス語ですよね?英語の授業は一切無いのですか?
鈴木 英語の話せる先生であれば最初は英語で教えてくれると思いますけれども、やっぱりフランス語でレッスンを受けるべきだと思いますね。
- 授業は日本と違う感じがしますか?
鈴木 レッスンのペースはほぼ週に一度ですので、日本とほとんど変わらないと思うのですが、すごく違いを感じるのは曲の数が多い事です。日本では割と少な目の曲を、みっちり時間をかけて仕上げていくと思いますが、フランスではたくさんの曲を同時に仕上げていきます。いくつものプログラムを同時にパッと仕上げられるように幅広くレッスンをしていく感じがします。
- たくさんの曲というのは何曲くらいですか?
鈴木 エコールノルマル音楽院の話をしますと、学期末に試験があり、その試験のためのプログラムを組みます。レパートリーがバロックから近現代までくまなく選ばないといけないので、五〜六曲になります。それにピアノ協奏曲も一曲という感じで一時間半くらいのプログラムを組みます。
- 他の学校も毎年毎学期末に試験があるのですか?
鈴木 もちろんスコラカントルム音楽院でもありました。プログラムの規模は、どういうレベルで最後の学期末の試験を受けるかによります。私は、演奏家コースなので、やっぱり学期末の試験プログラムは、一時間半くらいになります。ただ、エコールノルマル音楽院では一時間半のプログラムを全部試験で弾くわけではなく、舞台の上で「これとこれとあれを弾いて下さい」という指定があってそれを弾きます。何を弾くかは当日舞台に出るまで分からないので結局全部用意しなくてはいけません。
- 大変ですね。
鈴木 そうですね。その試験のやり方は、私はあまり好きではありません。少し前でいいから何を弾くかを提示してくれたほうが良いのですけど。いきなりフランス語で、全部じゃなくてあれとこれの一楽章だけとか、細かいことも言われるので結構ドキドキすると思います。留学したての頃はフランス語が聞き取れないこともありますから大変です。それがいい訓練というか、鍛えられる感じはしますけど。
- 聞き直すと減点ですか?
鈴木 それは心配無いのですが、フランス語の問題で弾く前にドキドキするじゃないですか。折角準備してきたのに言葉が原因で動揺してしまうと、「ああハンディがあるな」と思います。
- いろいろな学校行かれていますが、どこの学校にも日本人はいますか?
鈴木 エコールノルマル音楽院は、日本人がすごく多いです。日本人だけではなくてアジア人が多い。出会う生徒は、ほとんどがアジア人ですね。日本人がどの位いるのか把握していませんがかなり多いと思います。次に入学したスコラカントルム音楽院というのはエコールノルマル音楽院よりは少ないのですが、アジア人は多い。どちらかというと韓国人が多いという印象があります。今の学校ジュヌヴィリエール音楽院は、フランス人がほとんどです。私の在籍している室内学のクラスには数名の日本人の方がいます。
- 今行かれているジュヌヴィリエール音楽院は、年齢制限は無いのですか?
鈴木 ないですね。
- フランスの国立の学校だと21歳までなどいろいろありますよね。
鈴木 パリ国立高等音楽院(CNSM de Paris)、パリ国立地方音楽院(CNR de Paris)、リヨン国立高等音楽院(CNSM de Lyon)などは、年齢制限があります。特にパリ国立高等音楽院は、第二課程と第三課程があるのですが、第二課程は二十一歳までで第三課程はもうちょっと年齢が上でもいいのですけど若くないとなかなか入れないですね。そこに行きたい方は日本で高校生の時から準備しないと多分間に合わないと思います。大学を出てしまうともう年齢制限に引っかかってしまうので。
- エコールノルマル音楽院を卒業してからスコラカントルム音楽院に行かれたのはどういう理由なのですか?
鈴木 エリック・ハイドシェック先生が、スコラカントルム音楽院で6ヶ月ベートーベンのピアノソナタ三十二曲のマスタークラスをやるという企画がもちあがりました。それでスコラカントルム音楽院に行くことにしたのです。毎週新しく曲を仕上げて、ほぼ毎週ベートーベンのソナタを公開レッスン形式で勉強しました。
- とにかくベートーベンばかり?
鈴木 そうですね。私にとっては、その年はベートーベンイヤーです。一番から三十二番まで全部でした。もちろん三十二曲を全部私が弾いたわけではなくて何人か生徒さんがいましたので分けて勉強しました。でも半分くらいは直接演奏したと思います。ベートーベンのマスタークラスが半年あったのと、それと演奏家ディプロマが欲しかったので学期末の試験も受けましたのでスコラカントルム音楽院の一年間は忙しかったですね。
- 今は室内学のディプロマをとろうとしているのですね。
鈴木 そうですね。去年、進級はしたのですが、ディプロマが出るのは、受かれば今年ですね。
- エコールノルマル音楽院の時もエリック・ハイドシェック先生にプライベートで付いていらしたのですか?
鈴木 付いていました。プライベートでレッスンを見ていただきました。もちろんメルキ先生にも了解を得ていました。メルキ先生のレッスンを毎週受けながら、時々ハイドシェックのレッスンを受けて勉強していました。ところで二人は偶然ですけど同じアルフレッド・コルトーの門下生です。エコールノルマル音楽院もコルトーが創設しています。
- フランスでは、どの程度練習なさっていますか?
鈴木 日本にいた時とは比べ物にならないくらい練習するようになりました。ベートーベンのマスタークラスの時は、かなりピアノ漬けの毎日でしたね。アパートでは朝九時から夜九時までピアノを弾ける環境なのでその中で休憩を入れながら、コンクールの前だったり試験の前だったりすると、一日八時間、最低でも六時間くらいはやっていました。
- 留学なさって日本にいた時よりも練習するようになる方を多く聞くのですがそれはなぜですか?
鈴木 自然に練習が必要になる感じがします。なぜ練習しなくてはいけないのかを身にしみて感じるようになります。それに今の経験を無駄にしたくないという気持ちもあると思います。一生懸命打ち込んでいないとなぜパリにいるのかが分からなくなってしまいます。
- フランスに来る前に日本でやっておけば良かった事はありましたか?
鈴木 留学した方のほとんどが実感することだと思うのですが、日本で学んだ基礎が、それが実はこちらに来ると本当の基礎ではなくて、それよりも更に奥深いところに基礎の基礎があると気がつく。そういう存在を感じることがフランスに来てすごくあります。日本でしっかりやっておくというのはもちろん、それをベースにしつつ心を開いて素直な気持ちでもう一回ゼロからやり直すくらいの学ぶ姿勢が大事だと思います。「今まで何やって来たのだろう」と落ち込む事もありますが、そこからが成長だと思います。日本でやったことが全て正しいと思わない方がいいかもしれません。もちろん音楽は世界共通ですので何もかもが間違っていることはありえないのですが、日本での基礎にこだわっていると、フランスで学ぶことの弊害になる事があります。自分で考えてもっと奥深い世界を実感していくことが大事だと思います。
- 日本とは違う教え方だと思いますか?
鈴木 そう感じる人もいると思います。私は日本で学んだことは決して間違いではなかったと思っていますが、「なぜこういう時にこういうふうに表現したいのか」、「この楽譜を見てなぜこうなのか」など、あまり理解しないで演奏していた自分に気付きました。そこが本当の基礎だと思うのですけど、掘り下げていく時に自分の勉強の足りなさに気づいてがっかりと落ち込んだりすることはあります。
- 曲の解釈という意味ですか?
鈴木 それもありますし自分の甘さが見えます。「これでいいだろう」と簡単に弾いてしまっていた自分に気付くんですね。ヨーロッパではクラシック音楽の歴史の深さが日本と全然違いますので表面だけ上手に弾いても全然通用しません。「なぜあなたはそう弾きたいのか」、が見えてこなければいけないと思うのです。辛い勉強だと思います。自分の力量や今までの勉強の足りなさを実感したりして泣けてしまった事もありました(笑)。
- 先生の前で?
鈴木 私は、結構正直なタイプなので。でもそれは別に先生が怖いというわけではないですよ。自分に腹が立つし「ああ私は甘い」と思って情けなくてくやしくて泣いてしまいます。
- 先生の教え方も根本から考えなさいという事ですね。
鈴木 メルキ先生もハイドシェック先生もとてもレッスンが丁寧なので、決していいかげんなところで、良しとは言ってくれません。きちんと勉強したかどうかもかなり見抜く先生なので、いいかげんなことすると本当に怒られます。「この子気持ち緩んでるかな」と思ったときビタッとくるんですね。「なぜ一生懸命やらないの」、「なぜなの」と聞かれる。「この貴重な機会を無駄に過ごすつもりなの?」と言われたりもします。責任と誇りをもって怒ってくださっていると思います。ただ、「良くなったよ」と言うことは簡単なことなので。ピアノを学ぶことは、練習してピアノを弾きながら毎日自分と向き合うことです。それは毎日、本気な気持ちでやらないと出来ないことだと思うんです。だからただ何も考えずに練習してパーッともっていくと雷が落ちます。弾けているのに…と最初は何で怒られているのか分からない時もあるんです。これが日本で受けた教育の甘さだと思います。
- 学内外でコンサートなどなさいますか?
鈴木 ソロや室内楽などのコンサートの機会があります。ハイドシェック先生とデュオコンサート、というのもありました。それから最近はバイオリンとのデュオを月に1度くらいやっています。伴奏を依頼される機会もありますので伴奏もします。
- 日本のお客さんとフランスのお客さんは全然違いますか?
鈴木 違いますね。コンサートに行く時の気持ちが違うかもしれません。日本では、今ではそうでもないかもしれないのですが、クラッシックのコンサートに行く時は、やはり敷居が高いというか構えてしまう傾向があるように思います。フランスではクラッシックのコンサートはもっと日常的なものです。例えば本当に小さなサロンでも頻繁にコンサートが行われますし、教会では無料コンサートも結構あります。気軽に「今日ここで何かやっているんだって」という感じでぱっとコンサートに入ったり出来る環境なので一期一会というか「今日はこんな知らない人のコンサートに来たけど非常にすばらしかったわ」などそういうことが結構おきるんですね。彼らは良いと思えば感動を伝えますので、聴衆の反応というのをダイレクトに感じるし、演奏会の後でも遠慮しないでどんどん思ったことをみんな言いに来たりもしますから面白いです。そう言う時に全然日本とは違うなって思いますね。日本でコンサートを行う時はきちんとしたホールで敷居を高くしてやることが普通でしょう。もちろんフランスでもそういうコンサートは沢山ありますし、そこには皆さん最高におしゃれをして出かけたりはしますけど。それでも聞いている人の感動を日本より強く感じる気がします。簡単に言えば盛り上がっちゃう、と言うか(笑)。空間をみんなで共有して、素晴らしいものを聞けば素晴らしいと伝える、それがマナーという感じですね。観客が「演奏家を評価している」ことを見せてくれる気がします。
- ダイレクトに反応が返ってくるほうが面白いですよね。
鈴木 面白いですね。「私はそうじゃないと思う」という人がいたりもして(笑)、思わぬ反応や出会いがあります。例えばスコラカントルム音楽院にいたときの一年間のマスタークラスでは、日本の公開レッスンとはずいぶん違うなぁと感じました。普通、日本の公開レッスンでは、弾いても拍手は出ませんよね。ところがあのマスタークラスでは、もしうまく弾ければ拍手が出るんです。拍手もハイドシェックが、「拍手してやってくれ」という時もありますが、自然に起こる時もあって。舞台の上で意見交換しながら生徒がどんどん変わっていくその結果、音楽が本当にもっと説得力のあるものになって、聞いている方の心に届いた時に自然に拍手が出たりします。レッスンの後で聴衆の方からお花を頂いた事もありました。もうビックリ(笑)。会いに来て意見をくださる方もいます。そういう時はやっぱり感じますね、「ああ違うなって」。
- 留学して良かったと思える瞬間や自分が成長したなと思う点はありますか?
鈴木 一言では言えないのですけど…、瞬間というより毎日思っています。まずパリが大好きなのでパリにいることにすごく喜びがあります。それから外国に住むということは、大げさな言い方かもしれないんですけど、毎日が自問自答の日々です。「私は何でここにいるんだろう」、「私は何でピアノをここまで来てやっているんだろう」など、自分に問いかけることが多くなるのでピアノだけではなくて自分らしさを探すようになると思います。だんだん自分の好きなこともはっきり見えてくるし、日本では絶対に出会わなかったであろう機会に出会ったりすると留学して良かったなと思います。「なぜピアノなのか」なんて、最初は考えなくても弾けますけど、続けていくと「何故、何故」って誰でも思う。それを乗り越えていくためには外国で一人で苦労して住んでみるというのはすごく役に立つと思います。
- いろいろな経験を通して自分のことが良く分かるということですね?
鈴木 最初はカルチャーショックで自分が変わった気がしますけど、落ち着いて考えて見るとやっぱり自分というのはなかなか変わらないので、自分の内面をだんだん充実させていく方向に気づいていくと思います。自分を変えるというより自分を知るということでしょうか。それとフランスという国は日本と比べますと格段に不便な国ですので、日常的に小さなアクシデントに遭遇しがちです。それが自分を鍛える、純粋にそんな部分もあります。こんな些細なことで文句言っている場合じゃないと。フランスの社会はまだまだアナログですからシステムというものも良くありません。一回でうまくいくということはほとんどありませんので「自分でやっちゃおう」、「自分はどうしたいんだ」と思う癖がついてきます。私は日本もとても好きで、人間関係を穏やかに保つために周りの気持ちをくんだり、こうなったら便利だろうと先回りする対応があると思います。それは日本の本当に美しい文化だと思います。でも、フランスでは同じ事を全然期待できないので、全然違うんだと思って開き直れた方が幸せかもしれない。大らかになるべきだと思います。フランスのその部分が合う人と合わない人がいます。私はフランスの文句を言いながらも結局楽しく滞在していますので(笑)合っているのでしょうね。
- 今後はどうなさるのですか?
鈴木 フランスも長くなりましたのでこちらに滞在しつつ日本とフランスで両方で活動出来たら、というのが希望です。語学も生かしたいと思いますし、音楽の経験も生かしたいと思います。演奏活動は続けながら同時に日本とフランスの違いも見てきましたので、それが生かせる仕事もあると思い、現在探っている状態です。
- 学校が終わったら一度、帰国するのですか?
鈴木 う〜ん(笑)。フランスにいたいけれど。最近は少し仕事も始めていますので。演奏をしていきながら、教えることもしたいと思うようになりました。今まで自分が学んできた音楽をピアニストの使命として次に伝えていくことも大事だと思います。クラッシック音楽はそうやって今まで伝えられてきたものですので。
- 現地に行くと外国の友達が欲しいということで一切日本人と関係を絶つ方もいらっしゃいますね。
鈴木 極端なのは良くないと思うのです。わざと関係を絶って自分にバリアを張ってしまうのは寂しいと思うんですよ。せっかく日本から出て外国に住んでいるのであれば日本の良さも認識すべきだと思いますし、日本のものを全部否定することはないと思います。結局のところ、外国に住んでいると自分が日本人だなとすごく実感しますし、日本に住んでいた時より日本のことをよく考えます。日本を外から見て自分のどこが日本人らしいかを見るのは大事なことだと思います。ピアノにおいても自分の人格においても。なんで今に至ったのかをすごく考える機会が多いです。私は今のフランスの人間関係も好きですし、もちろん日本人の友人のことも大好きです。
- 今後留学する方にアドバイスはありますか?
鈴木 私の経験からしか言えないのですが、まず語学がとっても大事なのは現実です。語学を学んでしかもそれを怖がらずに使わないといけないと思います。学校で学んでいるだけではなく、社会に入って使うことが一番大事だと思います。あとは、自分で出来ることは自分でするという基本の姿勢を忘れないことだと思います。もちろん苦労したりすることもあって、特に最初は、例えば滞在許可証の申請の時、「ワーッ」とフランス語で早口で話されて分からなくてリタイヤして帰ってきちゃう人もたくさんいます。分からないことがあれば人に頼むのも良いのですけど、なるべく自分のことは自分でする姿勢を優先にした方がいいです。一年目に苦労したことは二年目に必ず生きます。元気がなくて、「やりたくないな。誰かに頼んじゃおうかな」と思ってもなるべく頑張ってやっていくというのは大事だと思います。それとフランスではなんでも一度ではうまくいかないと最初から決めてかかった位の方が良いと思います。それから友人を大切にするのもすごく大事です。孤独にはならない方がいいかなと思います。海外では心の病気は、気をつけたほうがいいですから。もちろん心だけじゃなくて体も気をつけた方がいいと思います。気候が全然違いますし、環境の違いからストレスを感じることで体が悲鳴をあげて、日本ではありえないような体調のくずし方をしたりしますので注意しておいたほうがいいと思います。フランスは、日本と比べて特に冬は寒いですし、乾燥しています。日本にはあまり流通していないウイルスにかかってひどい胃腸炎になったということもあります。健康を崩すと心が頑張ろうと思っていても出来なくなってしまうので、健康管理は大事だと思います。あとは、せっかくの貴重な留学機会だと思うので心を開いて日本での価値観をちょっと解き放ってオープンになっていろいろ吸収するのが大事かなと思います。
- 分かりました。
鈴木 最初はハイドシェックに出会ってこの人に絶対ピアノを習いたいと思っただけなんです。直感で行動のみ。そこから先は今まで経験したからこそ思うことであって、最初のまっすぐな気持ちが一番大事かもしれない。あんまり深く考えないで、「やるんだ」と。それがないと辛くなる時があると思う。どんなにフランスが好きでも家族や親しい人と離れて外国で1人で頑張るストレスは誰にでもあるし、モチベーションこそが自分を支えるはずだから。
- 一回り大きくなって帰ってくるのでしょうね。
鈴木 本当に絶対そうだと思う。良い思いをたくさんして留学を終える時には心から満足して日本に帰れたら幸せですね。
- ありがとうございました。
渡辺俊介さん/ジャズギター/ニューヨーク市立大学シティカレッジ/アメリカ・ニューヨーク
今回はアメリカニューヨークにあるニューヨーク市立大学シティカレッジ校に1998年から現在(2005年)まで留学している渡辺俊介さんにお話を伺いました。渡辺さんは学部入学後に大学院へ進学し、ジャズギターのパフォーマンスを勉強なさっていて、2005年5月ご卒業したばかりです。
- 改めて、まず現在の学歴を教えてください
ニューヨーク市立大学シティカレッジ大学院音楽学部ジャズパフォーマンス科ををつい先日卒業しました。
- ご卒業おめでとうございます。日本で留学する前は、何をなさっていましたか?
日本では音楽とは関係のない分野で大学に行っていました。
- それでは、留学する前までの音楽の経験はなかったのでしょうか?
小学校6年のときからギターをやっていました。そのときは趣味程度でしたけど。
- 留学したきっかけは何かありますか?
本や、旅行本を読んでいて、いつか外国に出てみたい、と思っていたのと、親がアメリカの音楽をよく聴いていたので、身近に音楽があったというのが主に理由としてあると思います。
- いろいろと学校があるわけですが、数ある中からどうやって学校を選びましたか?
まずは自分でいろいろな本や資料をみていました。わからないことがあったら知っている人にたずねてみたりしましたね。僕は、学費の面が一番のポイントだったので、そこに重点を置いて学校選びをしていきました。
- TOEFL対策はどのようにしましたか?日本での英語勉強法は?
TOEFL に関しては、教材を買って、とにかく繰り返してやっていました。実際アメリカに来た当初は、周りから聞こえてくる英語が早くて、言っていることはわかるけど、受け答えの面では苦労しました。あと、アメリカは人種が多様なので、自分の発音が悪いのか、相手の発音に問題があるのか、などわかりにくいことがありますね。教材でする勉強と、生の英語ではやはり違うなと思いました。
- 留学するまでにどのくらい準備しましたか?
9月から学校が始まるのですが、だいたいちょうど一年前ぐらいから準備にとりかかりました。
- 出発前に不安に思っていたことはなにかありますか?
宿泊先に関してが心配でした。幸い知り合いがNYにすでにいて、日本語の情報誌や、日系の斡旋業者などを教えてもらい、それで宿泊先は見つかりました。今はなかなか探すのが難しいみたいですが、学生であれば、他の学生とのシェアなどで見つけられるかと思います。NYの家賃はピンキリですが、高いと1500ドルぐらいはするんじゃないですか?自分はハーレムに住んでいるので、600ドル弱と家賃はだいぶ安いほうです。
- 留学先になぜその都市を選びましたか?
最初はNY以外にもいくつか候補があったのですが、車がなくても生活できるところ、田舎で何もないところは自分には無理だと思ったので、その点でNYはいいなと。あとはやはり音楽的にもすぐれた人が集まる街ということで、元から行きたかったというのがあります。
- 今、NYに7年目ということですが、なぜその留学期間にしましたか?
最初は2,3年のつもりだったのですが、学部から始めて、卒業までに3年半、その後大学院にも行ってみたら今の年数になりました。
- 学費はどのように捻出しましたか?
学部に通っている間は貯金と親の仕送りで、大学院の方は、奨学金と大学内のアルバイトで賄っています。学内のInternational Student Officeで働いていました。だいたいお昼に働いて、夕方から授業というのが多いです。
- 日本と留学先では何が大きく違うと感じましたか?
なんといっても授業が少人数だということです。僕のいるアンサンブルの授業では、だいたいいつも5,6人でやっています。学校には有名なベースシストが講師としてきているのですが、そういった人から教えてもらえるのもNYならではだと思います。プライベートレッスンでは、ジャズクラブを回って、直接声をかけて、先生をしてもらったりしました。学校がプライベートレッスンのレッスン代を一部負担してくれていました。
- 専門用語はどのように勉強しましたか?
日本では特に準備をしていったわけではなかったのですが、学校が始まってからMusic Dictionaryを買いました。
- 学校の授業はどのような感じですか?
学部のときは、理論、パフォーマンス、歴史と満遍なくやっていきます。自分はパフォーマンス学科なので、パフォーマンスが主体でした。一般教養もとらないといけないので、学部生のときは月曜日から金曜日までみっちり授業が入っていました。大学院では、週に、1、2回学校に行く程度なんですが、とにかくレポートの量が半端じゃなくって、ホントにレポート三昧でした。
- レポートはどのような課題がでるのですか?
先生にもよりますけど、クラシックで課題曲についての分析が主になります。毎週3,4曲課題曲を出されるので、図書館に通いつめていました。おかけで理論にも詳しくなりました。
- 学校の音楽の実技レッスンはどんなことをしますか?
先生と一緒に演奏して、とにかく感覚をつかんで、ディスカッションをする、という形式です。今やっている曲があるとして、それを違うキーで引いてみたり、違うテンポで引いてみたり、スタンダードな解釈からいかに自分の解釈をしていくのかというのを模索していきます。個性を出していいというのがジャズの特徴なので、こういったレッスンが多いですね。
- 先生はどうやって見つけるのですか?
個人の先生は直接ジャズクラブをまわって交渉したり、学校にある個人の先生リストからあたってみたりしていました。
- 先生の教え方はどんな感じですか?どのように教えてくれますか?
いかにも先生、という感じで、こうしないといけない、という人もいますし、一緒に作り上げていこう、という方もいます。どちらかというと一緒にやっていくという人が多いのではないでしょうか。
- 練習はどのようにしていますか?
学校の練習室もありますが、僕はギターなので、家でも練習していました。全盛期は1日6時間ぐらいは練習していました。夏休み中は10時間とかやっていましたね。
- 10時間!なにをそんなに練習なさったんですか?
いろんな人にフレーズを弾きこまないとダメだ、といわれて、真に受けて一生懸命やったんです。昼間はじめて、ご飯とかはもちろん食べるんですけど、気づいたら夜中の2時とか。結局弾きこんだことを報告したら、あれは物のたとえだ、って笑われちゃいましたけど(笑)
- 大学院のほうが、授業も少なくて練習できるような感じですか?
いや、大学院は宿題のレポートのほうが大変で、むしろ練習時間は減っちゃいましたね。理論が主体だったので。
- 学外でのセッション、コンサートなどは行われますか?
セッションはあるときはあるし、ないときはない、という感じですね。人づてに聞いたりして、参加していました。
- 音楽のレッスンで苦労することはなんですか?
苦労…。そうですね音楽の場合、効果がすぐに現れるものではないし、時間をかけると上達はするんですけど、週1回レッスンを受けていてもなかなか自分ではどれだけうまくなっているのかはわからない、というのがありますね。先生もそんなにすぐに上達するものではないよとわかっていると思うんです。もちろん5年前と比べたらうまくなっているけれど、音楽は満足することがないです。
- 学習態度に関しては、日本とどう違いますか?例えばどのような点が違うと思いますか?
いかにも先生、って言う人もいて、コレだけはやらなきゃダメとか、出席がうるさかったり、っていうのはありますけど、生徒を励ましてくれるし、生徒が作曲した曲を一緒に演奏してくれたりと、会話がとにかくありますね。生徒のほうもやる気のある人は、先生にいろいろと聞きますし、先生もそれを見越して、準備してきてて。わからないことをそのままにはしないで、その場で聞いていくから、更に授業が活性化していく感じです。
- 日本の学生にとっては、発言するというのが結構難しいんではないですか?
もちろん、そうなんですけど、もったいないし発言するようになりますよ。先生の方にも生徒をケアする態度があるので、聞きやすいかな。後は先生のオフィスアワー以外の時間にも質問して良いよ、という時間がありますね。とにかく先生と生徒の関係が良いですね。
- 授業以外はどのように過ごされていますか?
ヤンキーススタジアムが近いので野球を見に行ったり、料理したり、筋トレしたりしています。体が資本なので。
- 日本人以外の人たちと交流はありますか?付き合うコツなどはありますか?
こっちに来てから留学生同士の知り合いが増えました。いろいろなところから学生が来ているので、いろいろな知り合いができました。付き合う上で価値感の違いなど結構大変ですけど。
- 1ヶ月の生活費はどのくらいですか?
あんまり使うほうではないので、1100ドルから1200ドル以内に収まっています。ハーレムは物価が安いというのもあると思います。
- 実際のところ、治安はどうですか?
そんなに悪いわけではないですよ。危険なことにかかわっていなければ普通に生活できます。ただ、日本人というだけで、狙われていることもあるだろうし、実際僕の目から見ても日本人は隙があるような感じがするので、気をつけたほうがいいでしょうね。夜中帰ったりするときは、後を付けられていないか、後ろに気をつけています。
- 留学して自分が変わったというところはありますか?
留学をして、音楽をやっていなかったら、合うことがなかっただろう人に出会えたことが一番の収穫です。いろんな人に出会えて、自分なりに毎日コツコツやったことで、自分のスタイルができてきたような気がしますし、それが自信につながっています。
- これから留学する人にアドバイスしておきたいことは何かありますか?
こっちは手続関係がなんでも遅いので、まだかな?と思うようなことがあったら、とにかく自分から動くことですね。何かあったら待たないで、自ら動くのが必要です。
- 今後はどのような進路を考えていますか?
大学院を終えて、まだ1年間はアメリカに滞在できるので、ひとまず仕事に就こうと考えています。
- 先生から働き先の紹介とかありますか?
運がよければあるんでしょうけど、実際先生自体の生活も?ということもありますよね(笑)ミュージシャンは一部の一流じゃないと、副職があるというのが常識ですし。みんなレベルは高いんですが、働くということに関しては。。。ビジネスがうまい人は一部でしょうね。
- 最後に、渡辺さんの将来の夢はなんですか?
やっぱり演奏で食べていけるっていうのが目標ですね。必要な情報、知識は入れたので、それを広めたりできたら良いなと思います。
- 夢の実現にむけて、これからもNY、日本で頑張ってくださいね。今日はありがとうございました。
渡辺ゆかりさん/ジャズフルート/マンハッタン音楽院/アメリカ・ニューヨーク
5才からピアノを始める。東京外国語大学卒。ニューヨーク市立大学シティカレッジ校を経て現在マンハッタン音楽院ジャズフルート科在籍中。(インタビュー 2006年5月)
- 簡単に渡辺さんの経歴を教えてくださいますか?
渡辺 幼い頃から音楽が好きで、5歳の時に母に頼み込んでクラシックピアノを習い始めたのを覚えています。そして10歳になり、街にフルートの先生がいることを知り、前々から興味のあったフルートを習い始めました。その時からずっとフルーティストになりたいとひそかに思っていましたが、高校は進学校に進んだので、家族、まわりの雰囲気に影響されて、ピアノ、フルートのプライベートレッスンは続けていたものの、本格的に音楽の世界には踏み込めず、とりあえずは趣味にしておこうということになりました。
-なぜジャズをやろうと思ったのですか?
渡辺 大学の時、ジャズ研究会という学内のクラブがありまして、そこに友人に連れられて行ってみたんです。そこで初めてジャズを聴いたのですけど、クラッシック音楽のみを聞いて育ってきたので、始めはかなり抵抗がありました。でも実際、ジャズフルートを聞いてみて、フルートでもアドリブができるこんなにかっこいい音楽が存在することを知り、「あ、こういう音楽がやりたかったんだ!」と気づいたのです。それから、フルートが使われているジャズ、ラテン音楽を聞き始め、独学でジャズ理論もかじり始め、徐々にはまっていきました、、、、、、。その後、ジャズのレッスンも東京で数回受けました。
- 初めてジャズのレッスンを受けられた時はどんな感じでしたか?
渡辺 正直、訳が分からなかったですね。音楽に耳から入る方なので、やっていることは耳で理解できても、それと理論がつながりませんでした。笑)。
- それは具体的にはどういった点ですか?
渡辺 まずコード表示を理解するのに手間取りました。符読みに問題はなかったのですが、ジャズのコード表示は全て記号化されているので、どの音をだしたらいいか、感覚ではわかりますが、なぜそうなるのか分からない。しかも、数学の苦手な私は、ハーモニーが数字で表わされていることだけど驚いてしまい、音楽なのに理屈を通さなければいならないんだ、などと素人的なショックを受けていました。
- 留学するきっかけはなんでしたか?
渡辺 ジャズ研究会でジャズはやっぱりニューヨークがメッカなんだと話をしていました。そして自分の好きなCDがレコーディングされている場所をみてもニューヨーク。そこで漠然と、ニューヨークは、何かわからないけどとにかくすごい街なんだ。こういう音を創る何かがある所なのだと思っていました。それにどうせやるなら、いつかは本場で勉強したいと思ったんです。その時からニューヨークに留学したいと思っていましたね。
- 大学をご卒業してすぐにニューヨークに行かれたのですか?
渡辺 大学時代から留学にいきつくまで、更に回り道しているのですが、、、(笑)
卒業してから一度ラジオ番組の製作会社で短期間でしたが働いたんです。実際ミュージシャンがどのような音楽生活を送っているのか、どういう風に曲を作るのか等の話を身近に聞いているうちに、「あ、やっぱり私は音楽がやりたいんだ!」と気づき、しばらくして会社を辞めてあこがれのニューヨークに行きました。ニューヨークで夜な夜なあらゆる音楽を聴いているうちに、ジャズはまだ理解できていなかったのですが、ラテン音楽の楽しさにぐいぐい引きづり混まれてゆき、結局ニューヨークからプエルトリコ行ってしまいました、、、、、、。
- プエルトリコでもフルートを勉強しに行かれたんですか。
渡辺 半分半分ですね。また漠然と、何か仕事をしながら、ラテン音楽の勉強でもできたらいいなと。でも行ったら、ラテンフルートにはまってしまって(笑)。
- どのくらいプエルトリコには行かれていたのですか?
渡辺 1年ぐらいですね。1年でラテン音楽の熱も冷めてきて、やっぱりアドリブができるようになりたい。本格的にジャズを勉強したいと思い、ニューヨークへ移りました。
- ニューヨークの学校選びはどうやってなさいましたか?
渡辺 マンハッタン音楽院に入る前に、ニューヨーク市立大学シティカレッジ校に行きました。そこには友人が通っていて、比較的入学もしやすいときいていて、当時、アドリブはある程度できるようになっていましたが、理論が苦手だった私は、とりあえず受け入れてくれるところで理論の勉強をしようと思い、1年間勉強しました。そこは日本人も10人ほどいてアットホームな雰囲気でしたが、生徒のレベル、授業の内容に不満を感じていました。そこで、他の学校の情報を集めたところ、マンハッタン音楽院はいいカリキュラムがあって、すごいミュージシャンがいる!と聞いたので、受けるだけ受けてみようと思いました。
- シティカレッジからマンハッタン音楽院に移られたんですね。
渡辺 そうですね。ニューヨークではジャズクラブでセッションが数多くあります。そこで、すごく上手な人達にで会うと、マンハッタン音楽院を卒業していた人が多かったので、それは学校なんだろうなと思い、学校見学に行ったら、授業も雰囲気も素晴らしく、「ここで勉強したい!」と思いました。
- 実際にマンハッタン音楽院に入学されていかがですか?
渡辺 授業、先生、生徒のレベル的にも満足しています。学校はジャズ科とクラシック科とわかれているのですが、ジャズ科でも学士課程ではクラシック音楽の歴史が必須だったりしています。あと、校舎内に練習室があるのですが、そこはクラシック、ジャズ混合なので、自分の練習室のとなりの部屋から、クラシック科の生徒の練習が聞こえてきたりして、演奏のアイデアをいただいたりしています(笑)。ジャズ科は、各学年全体で12,3人程度の少人数ですので納得のいくまで質問できるのがいいと思います。
- かなり内容は濃いですか?
渡辺 そうですね。宿題も毎授業出ますし、先生の目が一人一人に気を配ってくれるので、しっかりやっていかないと駄目ですね。どれだけ授業を取るかによりますけど、私は今年18単位取っていたので、ほとんど毎日学校がありました。クラスをそれほど取らなければ、毎日学校へいくということはないかもしれません。
- いっぱい単位を取ったほうが早く卒業もできますよね?
渡辺 そうなんです。それを狙って頑張っています。
- マンハッタン音楽院の入学には何が必要でしたか?
渡辺 オンライン入学書の記入、演奏のデモテープ、英語でのエッセイが必要でした。それに受かると実際オーディションに行って何曲か演奏というかたちになります。
- オーディションの曲目は前持って知らされるのですか?
渡辺 年々変わるようですが、私の時は自分で選べました。
- オーディションは何分ぐらいですか?
渡辺 15−20分でしょうか。リズムセクションが用意されていて、数曲演奏しました。あと、演奏の後、絶対音感を持っているか、年齢はいくつか、などという質問がありました。
- 日本から申し込むといつまでも書類が届かないとか、そのおかげで試験日を逃してしまうなどあると思うのですがそういった事はありましたか?
渡辺 マンハッタン音楽院は、(学費が高いだけ?)学校の運営もしっかりしていて、そういう経験はありませんでした。でも、シティカレッジではおっしゃるとおり、入学願書をなくされてしまい、試験日を逃し1学期スタートするのが遅れてしまいました。
- 学費はどの程度ですか?
渡辺 高いです(笑)。私は、学生ローンでなんとか支払っています。1年間で22,700ドルですので日本円で約300万近くですね。来年は奨学金をもらえたらいいのですが。
- 奨学金でやっていく方は多いですか?
渡辺 生徒の40%が奨学金を受けているというのですが、私立の学校なので、成績以外にいろいろな要素がからんでくるようですが、成績優秀者に授与するといっています。
- 上位の何人かが奨学金を取れるのですね。
渡辺 一応そうなっているようです。
- 語学についてですが、渡辺さんは大学の時から勉強していたのでそんなに苦労はありませんでしたか?
渡辺 そうですね。それほど苦労はなかったです。でもニューヨーカーはみんな話すのが早いんですよね。なので初めの年は聞き取りが大変でした。シティカレッジで出合った日本人の話では、ニューヨークで語学学校に行ってから、学校を受験する方がほとんどのようです。今、マンハッタン音楽院のジャズ科では日本人は私だけなので、残念ながら当校の英語のレベルはなんともいえないのですが、韓国人の学生は大勢いるのですが、彼らは授業を録音しています。
- 復習のためですか?
渡辺 というか、先生の言っていることがその場では分からないので、後で何度も聞いて理解するんだと言っていました。マンハッタン音楽院はコロンビア大学と提携していて、英語力が足りないと判断されるとコロンビア大学で英語を勉強することになっています。
- コロンビア大学で英語を勉強している間は音楽レッスンはなしになるのですか?
渡辺 いえいえ、週何回か授業を受けに行くだけです。
- 学校の雰囲気はどうですか?
渡辺 マンハッタン音楽院は人数的にはクラシックの生徒が多いので、クラシックの音大という感じがします。
- クラシックの学生が多いという事は、イベント事もクラシック関係が多いですか?
渡辺 いや、そんなことはありません。人数に関係なく、同数イベントがあります。ただ人数的にクラシックの方が、オーケストラの関係もあると思うので多いのだと思います。
- 学校の中でコンサートはしょっちゅうありますか?
渡辺 あります。学期中では週に2−3回あると思います。ジャズの場合は、自分がどこかのグループに属さないといけませんので、そのグループで毎週1回集まって演奏をして、1セミスターに2、3回コンサートがあります。でも大変なグループに入るとけっこう辛いです。
- どう大変なのですか?
渡辺 18、19才の男の子達と一緒にグループを作って演奏する時もあるので、元気、はちゃめちゃすぎて大変な時があります。今までずっと学校の外でプロに混じって演奏をしてきたので余計にそう思うのかもしれません。
- 合わせづらかったりするのですか?
渡辺 そうですね。私だけ、日本人で女性ということもあり、あらゆる価値観の違いがもちろんでてきます。でもそこでつまづいていても仕方がないし、そういう中でやっていくのも、勉強になるし、新鮮です。みんな才能があり上手なので、そういう意味で、いい環境といえるかも知れません。
- グループは自動的に決まるのですか?
渡辺 学期の初めに決まるのですけど、自分でグループは作れるのだと思うんですよね。それを作らないとどこかのグループに自動的に入ってしまうのだと思います。
- 日本人の数は少ないのですか?
渡辺 ジャズ科は少ないですね。少ないというか今は私だけしかいません。クラシックは、20〜30人ぐらいでしょうか。
- 現在の先生はどうやって探されましたか?
渡辺 友人がその先生からレッスンを受けていて、「すごいいいよ」と言われたので学校に入る前から紹介してもらいました。
- 実際にその先生はとても良かったですか?
渡辺 良かったです。今まで何百人もの生徒を教えてきているので、何が必要なのかすぐ分かっちゃうんです。お医者さんみたいな感じです、、、。少し演奏すれば、君はここが悪いからこういう風に直しなさいと言われます。すごい親身になって話を聞いてくれて、音楽的な問題を一緒に話し合ってくれるのでいいですね。
- どういう風に演奏していくかは、学生と先生でディスカッションしていくのですか?
渡辺 どちらかと言うと、見て聞いて学ぶという感じです。やっぱり音楽だと音を聞いて学ぶのが一番だと思います。先生にもよるんですけど、コンセプトを与えて、あとは自分でやりなさい、という先生もいれば、1つ1つの音を直していく先生もいます。でも私の場合、自分で誤りを発見して気づいて直していかないと直りません。私はクラシックからジャズに変更して、今までのクラシック癖がなかなか抜けないので、それが結構大変でしたね。ジャズとクラシックではコンセプトも違うし、アプローチの仕方も全然違いますのでやはり、ある程度時間がかかるのだと思います。
- フルートの場合、お家でも練習できるんですか?
渡辺 夜の9時か10時ぐらいまでなら可能です。偶然ミュージシャンが近所に多くて、みな週末とかでも練習しています。ドラムも平気で叩いたりしますね。
- アパートは、どういう風に見つけましたか?
渡辺 友達に紹介してもらいました。聞いたことも、行ったこともない街だったのですが、友人は安全で、きれいで住みやすい街だというので、行ってみたら、イタリア人の街で、教会とイタリアンレストランだらけの、緑が多い雰囲気のいい街で、、、。アパートも気に入り、即決めました。やっぱり、アパート探しは、偏見をすてて実際にいろいろ見て回るべきだと思います。
- 引越しはなさってないですか?
渡辺 たくさんしましたよ。ニューヨークに来てから4、5回はしています。やっぱり住みやすいところ見つけるのは大変です。住み出すと引っ越しの時には分からなかった問題が出てきたり、近所がうるさかったり、、、。今のところも問題はあるんですけど、引っ越しにも時間がかかるので、しばらくはここにいます。
- 学校でお勉強をなさって、将来的な事につながるコネやツテはできますか?
渡辺 できると思います。特にリズムセクション、ピアノ、ベース、ギター、あとドラムの人達は仕事をもらう機会が多いです。それに先生達の演奏会にかりだされることもよくあります。そこからいろいろな世界が広がっていくと思います。
- フルートはどうですか?
渡辺 残念ながら学校ではあまりニーズはないですね。サックスとフルートのダブルで演奏するなら別ですが。例えば、サックスが吹ければビッグバンドでも演奏できますが、私の場合フルートのみなので、室内音楽ジャズバンドみたいなグループで演奏したぐらいです。将来は、自分でバンドを作ってやるしかないと思います。
- 演奏する場所はどういった所ですか?
渡辺 ジャズクラブ、プライベートパーティー、レストラン等で演奏しています。その演奏会の趣旨にもよりですね。昨日は教会での音楽フェスティバルみたいな催しで、教会で演奏してきました。
- 学校でジャズをお勉強していて、日本だと分からなかった事や日本とは違うところはありますか?
渡辺 ジャズ理論を勉強する際、日本では教科書、マニュアルに従って理解、演奏してゆくという感じだったので、実際それをどうやって使っていいのか、どういう風に演奏に生かしたらいいのかよく分かりませんでした。でもニューヨークに来て上手な人達の演奏を聴いたら、彼らはそれをうまく使って即興しているじゃないですか。それで、こういう風に使っていいんだ、こういう風な考え方もあるんだ、と演奏を聴いて、逆にその理論がよく分かりましたね。
- 情報として分かっていた事が実践できるようになったということですか?
渡辺 いい先生達も多いので、理論自体もすごく分かりやすく教えてくれていると思うんです。この学校はジャズ科でもクラシックの理論から始めるんですね。ジャズの理論はほとんどジャズの中にあるのですが、クラシックの理論の延長線上にジャズの理論があるように教えてくれるので、大きい見方で音楽を見れるようになったと思います。
- 全体の中でのジャズみたいなところですね。
渡辺 クラシックからの要素、影響なども見えてきたりします。日本では私にとってクラシックとジャズの間にはっきりとした境界線がありました。もちろん、全く異なるジャンルの音楽なのですが、ジャズを理解する上でその境界線が徐々に薄れてきたのはいいことだと思います。ジャズの発展、根底にある要素みたいなものが世界歴史上で徐々に見えてくると、ジャズの中でも、これから自分の進みたい方向みたいなものも見えてきました。
- 本場でやるというのは、極論に言ってしまえばいいって事ですよね(笑)。
渡辺 そうですね、もし可能ならば、、、。
- 学校生活をしていく上で日本人以外の人達とうまく付き合うコツはありますか?
渡辺 異なるバックグラウンドの人達が多いのでいろいろ事にあまりこだわらず、「まぁこんなもんか」みたいに気楽にやってくことですかねえ。
- 大らかにということですか?
渡辺 そうですね。難しいですけど。あと、日本人は苦手な人が多いと思いますが、いろいろな人達がいるところなので、自己主張をして、ある程度自分の存在をアピールしていくことも大切です。
- 今学校はどういった人種が多いのですか?
渡辺 ほとんどが白色アメリカ人ですね。黒人とラテン人は数人います。あとヨーロッパからは結構きています。あと韓国人が数人。
- 中国人はいかがですか?
渡辺 ジャズ科にはいませんね。クラシックには結構います。
- 生活費は、大体ひと月どのくらいかかりますか?
渡辺 そんなに贅沢しなければ、家賃を含めて15万位あれば充分だと思います。家賃、交通費食事代、本やCDなどで、学生生活みたいな生活ならばですけど。
- 家賃はどのくらいですか?
渡辺 今ブルックリンでアパートをシェアーしていて600ドルです。マンハッタンよりは安いと思います。
- マンハッタンだとどの程度ですか?
渡辺 場所にもよりますが、結構高いですよね。マンハッタンの先端に行ってしまえば安いアパートはあるらしいですけど、治安がそんなに良くないと聞きました。いいところに住もうとすると値段は上がりますよね。
- 治安はいかがですか?
渡辺 全体的によくなってきています。でもやっぱり女の人が一人で出歩くのは不快という場所はあります。雰囲気が悪くて安全じゃないと思えるようなところはあります。
- それは日中であろうと夜であろうとですか?
渡辺 夜ですよね、やっぱり。お昼だったら大丈夫だと思います。
- 留学して良かったと思える時はありますか?
渡辺 単準なのですが、誰かから「うまくなったね」とか言われたり、自分でいい演奏が出来たと思ったときでしょうか。
- これから留学する人にアドバイスをいただけますか?
渡辺 アドバイスというか、私が最近思うことなのですが、留学される際は、留学の目的をはっきりさせつつも、完璧主義にならないことが大切なのでは、と思います。みなさん留学したいと思った時点で、すでに自分の夢があり、何か特別なことを学びたいと思っていらっしゃると思います。当然外国で学ぶことに対する期待も大きいと思います。そこで実際、外国に来て新しい環境に入り、いろいろな事が起り、いいことも沢山起こると思うのですが、自分の思い通りにいかなかったり、目標が達成できていない、と思うこともでてくると思います。そこで、自分を責めたり、あきらめたりしないで、それは今まで自分が見えていなかったことが見えてきただけで、これは自分を成長さるチャンスだと思った方がいいのでは、と思うようになりました。私が、こんなことを言える立場にはいないのですが、特にジャズにおいては、自分の個性、人間性が演奏ににじみでてきて初めて、演奏(パフォーマンス)になると思います。自己の変化、成長を素直に受け入れていくことは演奏を成長させるうえでも大切なことだと思います。そう考えられたら、実際、生活をして行く上でやらなければならないことが山ほどあって(英語学習、留学資金作りのバイト等)、自分の目指すところになかなか行き着かないことが多々あるとしても、そういった活動も実は、自分のそして音楽の成長になんらかの形で役立っているのだと思います。そう考えられると、自分ではなかなか前進できないと思っている時でも、実はそんなことはないんだと思えて、留学からのプレッシャーやあせりにつぶされず、頑張れるのではないのでしょうか。私の体験談が皆さんの参考になったか分かりませんが、皆さんの留学がいろいろな意味で成功することを願っています。
- ありがとうございました。今後も色々頑張って活躍なさって下さい。